
広島原爆養護ホーム「矢野おりづる園」を訪れ、被爆者と懇談される天皇、皇后両陛下=6月20日午後、広島市安芸区
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戦後80年にあたり先の大戦で原爆が投下された広島県を訪れていた天皇、皇后両陛下は6月20日、77人が死亡した平成26年8月の土砂災害で被害が特に大きかった広島市安佐南区八木地区を訪れ、深々と黙礼された。

両陛下は砂防堰堤(えんてい)の整備状況をご視察。復旧や住民の心のケアなどについて説明を受け、熱心に質問を重ねられていた。堰堤近くの「広島市豪雨災害伝承館」では、被災者同士が思いを語り合う取り組みについて、陛下は「語り合うことで、安らぐこともあるのですね」とねぎらわれた。
両陛下は懇談で、11歳と2歳の息子を亡くした夫婦に「本当に大変なことでございましたね」と寄り添われた。

その後、原爆養護ホーム「矢野おりづる園」をご訪問。被爆の後遺症で母を失った女性が「二度と戦争がないよう、天皇陛下にも力を尽くしていただいています」と話すと、皇后さまは「おつらい思いをされましたね。お母さまも」と述べられた。
両陛下は同日夜、広島空港から特別機で帰京された。
両陛下と長女の敬宮(としのみや)愛子さまは23日、皇居・御所で、先の大戦で沖縄での組織的戦闘が終結したとされる「慰霊の日」にあたり、黙禱(もくとう)をささげられた。上皇ご夫妻もお住まいの仙洞(せんとう)御所(東京都港区)で黙禱された。
陛下は24日、東京・上野の日本芸術院会館で、芸術分野で大きな業績を残した人に贈られる日本芸術院賞の授賞式に臨席された。陛下は受賞者らとご懇談。文楽人形遣いの吉田和生さんから説明を受け、文楽人形の頭部を持って操作される場面もあった。

午後には、皇居・宮殿に受賞者や日本芸術院の新会員らを招き、茶会を催された。茶会には皇后さまと愛子さま、秋篠宮ご夫妻と次女の佳子さまが陪席された。

愛子さまは、新会員でアニメーション監督の富野由悠季さんとご懇談。富野さんが手掛けた人気アニメ「機動戦士ガンダム」などが話題となった。佳子さまは、俳優の橋爪功さんに「役を作るうえで大切にされていることは」と質問されていた。

両陛下と愛子さまはその後、宮殿で、17日にブラジル公式訪問から帰国された佳子さまからあいさつを受けられた。宮内庁によると、佳子さまからは、ブラジル国民との交流などについてご報告があったという。
宮内庁は26日、天皇ご一家の飼い犬の「由莉」が、23日に息を引き取ったと明らかにした。由莉は平成21年、ご一家が動物病院を通じて譲り受けられた。両陛下と愛子さまは皇居・御所で、由莉の旅立ちを見送られたという。

佳子さまは23日、めまいなどの症状や疲れがあり、ブラジル公式訪問の終了を報告するため予定していた東京都八王子市にある昭和天皇の武蔵野陵(むさしののみささぎ)と香淳皇后の武蔵野東陵(むさしののひがしのみささぎ)への参拝を取りやめられた。
世界柔道選手権大会の観戦でハンガリーを非公式に訪問していた寬仁親王妃信子さまは22日、帰国された。
高円宮妃久子さまは20日、赤坂御用地(東京都港区)にあるお住まいの高円宮邸で、高円宮記念クィーンズ大学留学奨学金受賞生と面会された。同奨学金は、クィーンズ大学に留学した高円宮さまを記念して設立された。
筆者:中村昌史、吉沢智美(産経新聞)
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2025年6月27日産経ニュース【皇室ウイークリー(902)】を転載しています
【皇室ウイークリー】は毎週金曜日、「産経ニュース」に掲載している企画です。ニュース紙面ではあまり触れられない各宮家のご活動や、上皇ご夫妻のご様子を含め、宮内庁担当記者が皇室の1週間を振り返ります。紙面で掲載できなかった写真もご紹介しています。さらに「皇室ウイークリー」だけのために撮影した写真も、アップしています。
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