
アサヒグループHDの本社ビル(奥)=東京都墨田区
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アサヒグループホールディングス(HD)のサイバー攻撃被害で、コンビニや外食チェーンに影響が出ている。コンビニで飲料などの一部商品が欠品や品薄になり、飲食チェーンではビールの調達を他メーカーに切り替える動きも出てきた。アサヒは10月3日、サイバー攻撃は身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」によるものと確認したと発表。システム障害は復旧のめどが立っておらず、事態が長期化すれば業績への打撃は避けられない。
サイバー攻撃によるシステム障害は9月29日に発生し、受注・出荷作業が止まった。多くの工場で生産を停止している。「スーパードライ」など主力製品は1日から試験的に手作業で受注し、3日から在庫を納品している。
アサヒは3日、「情報漏洩(ろうえい)の可能性を示す痕跡が確認された」とも発表。情報の内容や範囲は調査中としている。勝木敦志社長は3日、「お客さまへの商品供給を最優先として代替手段による対応を進めている」とのコメントを出した。
コンビニ大手のファミリーマートは2日、アサヒと共同開発し、生産を委託している紅茶などプライベートブランド(PB)のペットボトル飲料の出荷が止まっており、「店頭における品薄や欠品が想定される」と発表した。商品の供給再開については「アサヒと連携し、状況の確認と改善に努めている」とするが、めどは立っていない。
セブン―イレブン・ジャパンもアサヒと共同開発したサワー「クリアクーラー」などの出荷が停止。ローソンも3日以降、一部商品が順次品薄になる可能性があるとして、代替商品を準備し、影響を最小限に抑えたい考えだ。

PB飲料だけでなく、アサヒの主力商品「アサヒスーパードライ」といったビールや缶酎ハイなどの酒類のほか、飲料、食品の出荷も止まっている。コンビニ大手3社は今後、欠品や品薄が生じた場合には代替商品を発注できるようにする方針。
一方、外食チェーンではビールなどを他社製品に切り替える動きも出ている。全国に約230店舗を持つ丸源ラーメン(愛知県豊橋市)はアサヒから生ビールや瓶ビールなどが入荷せず、在庫が尽き次第、他社から仕入れる予定。しゃぶしゃぶ・日本料理店などを展開する木曽路(名古屋市)も「生ビールを瓶ビールにしたり、他社製品に換えたりして対応している」と説明する。
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ビール6工場の操業再開 手作業で受注、生産・出荷
アサヒグループHDは6日、サイバー攻撃に端を発したシステム障害の影響で停止していた国内ビール全6工場の操業を再開したと明らかにした。応急措置として電話などで受注し手作業で処理した分を2日から生産し、順次出荷している。
対象製品は主力の「スーパードライ」。6工場は北海道(札幌市)、福島(福島県本宮市)、茨城(茨城県守谷市)、名古屋(名古屋市)、吹田(大阪府吹田市)、博多(福岡市)。
(産経新聞)
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