
吉本興業株式会社=大阪市中央区
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オンラインカジノで賭博をした単純賭博容疑で、吉本興業所属の男性芸人6人が書類送検された。
日本では公営ギャンブル以外の賭博は違法だ。海外で合法運営されるカジノでも、日本国内からインターネットを通じて賭ければ違法になる。「立件されない」など誤情報が氾濫するが、「オンラインカジノは違法」と明確な周知を徹底したい。
6人は容疑を認め、任意捜査で書類送検となったが、検察の刑事処分はどうなるか。
5千万円超を賭けていた者もいた。単純賭博罪の場合は略式起訴が目立つが、警察は起訴を求める厳重処分の意見書を付けており、金額の大きさと併せ、本裁判への起訴の判断も考えられる。蔓延(まんえん)するオンラインカジノ賭博の抑止のため、厳しい処分がとられる可能性もある。

お笑い芸人などタレントの影響力は大きい。だからこそ違法への正しい認識や、毅然(きぜん)たる態度が求められる。球界では8球団に16人の利用者がいたことが分かり、制裁金を科した。
共通するのはオンラインカジノ賭博の違法認識が乏しいことだ。本来ならこうした影響力ある者は「オンラインカジノ賭博はやめましょう」と社会に呼びかけるべき立場なのに、だ。
オンラインカジノは怖い。決済までスマートフォンで全て完結するため、負債が膨らむスピードが他の賭博とは桁違いだ。破産や家庭崩壊に直結する。
警察庁の調査でオンラインカジノ賭博の利用経験者は約337万人、年間賭博額は約1兆2423億円と推計されることが分かった。20~30代の経験者が多く、4割に違法との認識がなく、6割が依存症の自覚があると回答した。深刻な蔓延だ。
中国が規制を強め、緩い日本に海外カジノが目を向けた経緯がある。海外業者から日本は甘く見られ、搾取されている状態だ。ようやく自民党がネット広告やSNSでのカジノサイトへの誘導を違法化する法改正の方針を示したが、これまで政府は何もしてこなかったに等しい。現在の蔓延状態は国の無為無策が招いたとの誹(そし)りを受けても仕方があるまい。
違法性の周知と摘発を強力に推し進め、広告規制や「ブロッキング」によるカジノサイトへのアクセス制限の導入をためらうべきでない。
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2025年4月7日付産経新聞【主張】を転載しています
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