
1/10サイズでカプセルトイ化された寿司ロボット。実物を忠実に再現している。
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日本を訪れる外国人観光客に大人気のカプセルトイは、今やインバウンド消費の牽引役です。JACTA(一般社団法人日本カプセルトイ協会)が示すように、日本のカプセルトイ市場は拡大し、売り場は日本人だけでなく多くの訪日外国人観光客で賑わいます。かつて子供向けだったカプセルトイは、その精巧な作りやユニークなコンセプトで大人をも魅了し、一大市場を形成しています。その中で、特に注目されるのが企業コラボレーションから生まれるユニークな製品群です。
カプセルトイメーカーの中でも、独創的な製品を世に送り出すのが株式会社トイズキャビンです。彼らの強みは、オリジナル製品へのこだわりと、ギミックトイへの情熱にあります。トイズキャビン社長によると、企業コラボは9割が企業側からのアプローチで、実際に商品化されるのはわずか2割。
企業からの依頼で開発するのではなく、「自社の製品として責任を持ってやりたい」という強い信念を持ち、ビジネスとして難しい場合でも、損得抜きで商品開発するケースもあります。この妥協を許さない姿勢が、トイズキャビンの製品クオリティを担保しています。

そんなトイズキャビンの開発者魂に火をつけたのが、世界中で活躍する鈴茂器工の寿司ロボットとのコラボレーションでした。実機を見た開発者はその精密な動きと機能美に魅せられ、「絶対にカプセルトイにしたい」と強く感じたといいます。
特にこだわったのは、ターンテーブルでシャリ玉を回転させるギミックの再現。シャリ玉10個、ご飯が見えるホッパー、裏蓋、細かなシールでの再現など、限られたサイズとコストの中で実現するのは容易ではありませんでした。金型の変更を伴うバリエーション展開の難しさから、カラーバリエーションを中心に、企業のブランドイメージとカプセルトイユーザー双方に受け入れられるよう工夫を凝らしました。

カム機構によるリアルな動きや、お米の表現、さらにはシャリを裏返すとワサビを付けたような遊び(これは企画段階でボツになったものの)まで検討するなど、細部にわたるこだわりが詰まっています。
鈴茂器工の寿司ロボットは世界90カ国以上で使われ、BtoB製品ながらメディア露出も多く、知名度があります。日本食の代表である“寿司”を扱っているため、インバウンド需要も大いに期待できます。
鈴茂器工の製品には、今回のシャリ玉ロボット以外にも、のり巻きやカッター、酢合わせ、ご飯盛付けロボットなど多様なラインナップがあり、今後のカプセルトイ展開の広がりも期待できます。
カプセルトイの企業コラボレーションは、一社だけでは成し得ない大きな力を生み出す、日本文化を世界へ広める可能性に満ちた取り組みです。
著者:鈴茂器工
※鈴茂器工は、JAPAN Forwardの賛助会員です。
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