
開幕した最新ITの展示会「CEATEC2025」=10月14日午後、千葉市美浜区の幕張メッセ
This post is also available in: English
最新ITの展示会「CEATEC(シーテック)2025」が10月14日、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕した。国内外から計810の企業・団体が出展。次世代の第6世代(6G)以降の移動通信システムを想定し、人の五感を伝える技術やこれまで電波が届かなかった場所の情報を活用するシステムの展示が目立った。17日までの4日間で10万人規模の来場を見込んでいる。
半数近くの出展が人工知能(AI)関連で、スタートアップ(新興企業)や大学研究機関の参加は232と、昨年の188を上回り過去最多となった。一方、AIの社会実装を前提に、大容量のデータをより高速で送信できるようになる6Gが実現した未来を想像させる展示を強調する企業も相次いだ。
シャープ、話せるオーブンや対話型AIロボット 村田製はマスク装着型
生成AIの活用に重点を置くシャープは、ウオーターオーブン「ヘルシオ」と自然に会話しながら料理ができる「クックトーク」を紹介。今年発売の新製品などが対応しており、スマートフォンを介して献立や料理の方法を相談できる。今年8月に発表した対話型AIを搭載したロボット「ポケとも」の特別展示も行っている。

村田製作所はマスクをしながら正確に自分の声を入力できるマスク装着型デバイス「mask voice clip」を出展している。マスクの内側に装着することで、振動から本人の声を検出。騒音と分離して正確な音声入力が可能になるという。AIによる文字起こしの正確性向上が期待でき、工場や医療現場での活用が想定される。

次世代の6Gでは、宇宙や海中などでも無線通信が可能となるため、新たな領域でITの技術開発が進む期待が高まっている。
NTTドコモは身体や心の痛みを数値化し、他人と共有する仕組みを展示した。医療現場で利用すれば、腹痛やけがの痛みを医者に伝えやすくなる。カスタマーハラスメントやSNSでの誹謗(ひぼう)中傷なども数値化し、身体的な痛みに置き換えて実感してもらうことも想定している。ドコモの担当者は「6Gでの通信を前提にした技術」とアピールした。
富士通は水中ドローン(無人艇)で撮影した映像から、現実そっくりの仮想空間「デジタルツイン」を生成する技術を出展した。藻場を再生し、海洋生態系が吸収する炭素「ブルーカーボン」を増やすプロジェクトに活用するという。ドローンは有線で接続されているが、6G時代には無線で操作できるようになる可能性もあるという。
世界から参加拡大
シーテックは世界中のテクノロジー愛好家やイノベーターが集まる場となっている。2023年にはウクライナが初参加し、11のIT企業と政府機関がデジタル関連の取り組みを発表した。
今回は、米国、インド、ウクライナ、フランス、イタリアなど、多くの国が参加し、一連のカンファレンスが開催。14日には、ウズベキスタンのデジタル技術省副大臣カリムジャノフ・ルスタム氏が、ウズベキスタンと日本の間に「デジタルブリッジ」を構築するための取り組みについて講演した。
(産経新聞、JAPAN Forward)
This post is also available in: English