洋画家、悳俊彦氏の個展『卒寿 新作展』が4月14日から7日間、東京・銀座のあかね画廊にて開催される。
Toshihiko Isao Exhibition in Ginza2

卒寿の展覧会を前にした画家、悳俊彦氏。都内のアトリエで、武蔵野の作品の前に座る(©JAPAN Forward)

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JAPAN Forwardの寄稿者で今月90歳になった洋画家、悳俊彦(いさお・としひこ)氏の個展『卒寿 新作展』が4月14日から7日間、東京・銀座のあかね画廊にて開催される。

悳氏は、東京郊外に広がる武蔵野を半世紀にわたり描き続けている。

第二次世界大戦下、当時少年だった悳氏は疎開先の長野でもスケッチブックを手放さなかったが、中学時代に入り再び武蔵野を描くことになる。20代にはピカソを中心としたキュビズムや、非具象絵画のジョルジュ・マテューほか様々な潮流が日本画壇を席巻、悳氏もその殆どの流派を試みるが、スランプに陥ってしまう。そうして、具象的表現に戻り、旧友である武蔵野の元に帰ることとなる。

卒寿 新作展に出展する作品を都内のアトリエで描く悳俊彦氏(©JAPAN Forward)

しかし、悳氏は「まだまだ描き足りない」と言う。「この歳になっても散歩する道があり、描きたいものが絶えないことへの喜びがある。これからも身体が動く限り、武蔵野を描き続けていきたい」と述べている。

“私はいつの頃からか見えない糸で操られるように自分の生まれた地、この武蔵野を描くようになっていた。もう少し具体的にお話しするなら、当時の東京には、町を少しはずれるとまだまだ畑や雑木林がいたるところに広がっていた。秋の暮れなど、赤とんぼが空一杯に群がって、その下をもち竿を持った子供達のシルエットが夕陽を背に乱舞していた。その子供達の中に私もいたのだ。”(明治の古典<7>武蔵野・平凡 / カラーグラフィック(1982年)学習研究社出典 悳俊彦 著述)

失われゆく幼友達の武蔵野を見届けることが自分の使命の様に感じていると言う悳氏、その絵の中に浮かぶ武蔵野はこれからも変わらず生き続け、また、彼もその中に根を張り残ってゆくのだろう。
武蔵野と共に育ち、愛してきた悳氏の新作を是非、会場で観て頂きたい。

入場は無料。卒寿新作展の詳細は以下のとおり。

「卒寿 悳俊彦」(新作展)

  • 会期:2025年4月14日(月)~ 4月20日(日)11:00〜18:30
     ※最終日は16:00まで
  • 場所:あかね画廊 入場無料
        東京都中央区銀座4丁目3―14
       (東京メトロ丸ノ内線、日比谷線、銀座線 銀座駅B4/C6出口より徒歩3分)
悳俊彦 卒寿 新作展への招待状

(JAPAN Forward)

悳俊彦氏の【アトリエ談義】シリーズ

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