イタリア料理の将来を担う、日本最高峰のイタリア料理シェフによる壮絶な料理バトルが繰り広げられる決勝戦が開催された。
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「全国イタリア料理コンクール」の優勝トロフィー=12月9日(海藤秀満撮影)

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12月9日、都内で「全国イタリア料理コンクール」の決勝戦が開催された。在日イタリア商工会議所の主催で、本格的なイタリア料理の啓蒙と日本のイタリア料理業界を牽引する有望なシェフの育成と発掘を目的として2011年から開催されている。

審査員が見守る中、料理を進める2人のシェフ=12月9日(海藤秀満撮影)

決勝戦のテーマはラザニア。世界中で食べられているイタリアを代表する郷土料理だ。約50人の挑戦者で4月に始まった予選から勝残った2人の日本人シェフ、伊藤公則さん(オリエンタルランド所属)と門平光正さん(イタリア料理店アズーリコエド総料理長)が決勝戦に挑み、門平シェフが見事栄冠に輝いた。

会場の一般審査員が評価したシェフのカードを掲げる=12月9日(海藤秀満撮影)

4人のイタリア料理審査員と約50人の一般審査員が見守る中、持ち時間1時間での勝負がスタートした。両シェフとも手際よく食材を活かした調理を進めた。

優勝した門平シェフのラザニア=12月9日(海藤秀満撮影)

イタリアでは家庭料理としても有名なラザニアだが、地方によってそれぞれの味がある。両シェフは各々描くラザニアの完成イメージに向けて、料理の具体化を進める。途中、審査員が席を立ち調理中のシェフに近寄り質問するなど場内は熱気に包まれた。繊細な調理が完成すると、完成品が皿に盛り付けられた。

制限時間が終わると2人のラザニア料理が審査員と一般審査員に振る舞われ、慎重に味を確かめる。そして審査結果が発表された。審査員票は2票ずつで両シェフが互角だったが、一般審査員は門平シェフの支持が多く、門平氏が総合優勝に輝いた。

優勝した門平光正シェフ(右)=12月9日(海藤秀満撮影)
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日本でのイタリアブーム

イタリア料理は日本でも人気のヨーロッパ料理。現在は日本国内に1万軒以上のイタリア料理店があるという。しかし、イタリア料理店が本格的に増えたのは、1980年代以降だ。料理店の急増とともに、イタリアの食材とイタリアワイン、オリーブオイルやバルサミコ酢の輸入量も急増した。輸入されるパスタの種類も豊富になり、パンナコッタやティラミスなどのデザートやピザもブームになった。

1980年代にはイタリアのファッションも日本で流行した。プラダ、グッチ、フェラガモ、ブルガリ、ジョルジオ・アルマーニなどの高級ブランドにも人気が集まった。日本が好景気の時代でもある。

日本でイタリアブームが起こっている頃、イタリアに渡り料理の修行を積む日本人も増えた。イタリアの大都市に限らず、各地で修行した日本人シェフが帰国して国内でイタリア料理店を開業、新しいスタイルのイタリア料理店が日本国内に広まったのだ。中には国内の食材を使ったイタリア料理を得意とするシェフもいる。

今回のコンクールで優勝した門平シェフは「自分の出身地の埼玉県の食材・味にこだわり、決勝戦のレシピにはそれにこだわって勝負に出た」とコメントした。

筆者:海藤秀満(JAPAN Forwardマネージャー)

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