記者会見する中国商務省の何詠前報道官=11月20日、北京(同省のホームページから・共同)
This post is also available in: English
中国政府が高市早苗首相の台湾有事を巡る発言への批判や経済的威圧を強めている。
共産党支配の専制国家の本性をさらけだすもので容認できない。中国政府は首相発言の撤回要求や経済的威圧をやめるべきだ。
中国政府がさらに経済的威圧や邦人拘束を仕掛けてくる恐れはあるが、日本は不当な要求に迎合してはならない。際限なき対中屈従につながるからだ。邦人をできるだけ帰国させるなど警戒は怠れない。
中国政府は日本産水産物の輸入を再停止した。自国民へ日本渡航の自粛も求めた。中国外務省報道官は高市首相の発言が「中国民衆の強い怒りを招いた」とし「日本の水産品を中国に輸出しても市場はないだろう」と言い放った。
小野田紀美経済安全保障担当相が「何か気に入らないことがあったらすぐに経済的威圧をしてくるところに依存しすぎることはリスクがある」と述べたのは当然だ。今の対中経済関係、交流は見直さざるをえない。
行儀の悪い観光客が減ると喜ぶ日本人が多くいるのを中国政府は知らないのか。ポケットに手を入れたまま応対した中国外務省局長は世界で失笑を買った。

民主的な選挙でリーダーを選べない専制国家の外交官が民衆を代弁したり、自国内で規制するXで自由の国日本を攻撃したりするのも笑止千万だ。
傍若無人な言動はまだある。中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事の「首相斬首」投稿がそれである。中国外務省報道官もXへ「中国人民のボトムラインを挑発しようとすれば必ず中国側の痛烈な反撃を受け、14億を超える中国人民が血肉をもって築いた鋼鉄の長城の前で頭を割られ血だらけになるのだ」と投稿した。

これが高市首相を「軍国主義」と批判する中国の姿だ。軍国主義を知りたいなら自分で鏡を見た方がよい。

首相発言を撤回すれば安保関連法を制定した意義は水泡に帰す。日米同盟の空洞化が進み日本の安全保障は保てなくなる。目先の威圧に動揺し専制国家に従っても対中関係がうまくおさまるわけもない。味をしめた中国は不当な要求を重ねてくるからだ。台湾有事が起きて日本有事に及ぶ恐れも一層高まる。
日本は結束し、薛総領事の国外追放など毅然(きぜん)とした姿勢を貫くのが最善の策である。
◇
2025年11月21日付産経新聞【主張】を転載しています
This post is also available in: English

