5月5日はこどもの日。知らないことに気付き、もっと知ろうと思い、行動することが大切です。可能性は無限大です。
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札幌市南区の定山渓温泉でこどもの日を前に始まった「渓流鯉のぼり」

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おはようございます。大型連休もあと少しですね。早寝早起きのリズムを整えながら、いっぱい楽しんでください。

その楽しみ方にちょっとした提案があります。何か一つ「これ、不思議だな」「あれ、なんだろう」と興味を持ってほしいのです。例えば旅行に行くなら行き先について調べてみてください。土地、乗り物、食べ物、何でもかまいません。きっと楽しさが何倍にもなるはずです。

特別な場所でなくてもかまいません。近くの公園に出かけてみましょう。5月は草木が伸びて風もさわやかです。花や虫、鳥を見かけたらじっと観察してみましょう。新しい発見があるかもしれません。

家で過ごす予定なら、テレビを見たりゲームをしたりするでしょうか。そんなとき、知らない言葉や映像に出合って疑問に思うことはありませんか。

分からないことがあったらまず、お父さんやお母さんに聞いてみましょう。インターネットなどを使って一緒に調べてみるといいかもしれません。近くの図書館へ行って、関係がありそうな本を探してみるのもおすすめです。

というのも、いま皆さんが「なぜ?」と思うことがとても大切だからです。それはちょっと難しい言葉ですが「好奇心(こうきしん)」といいます。そして、たいていの好奇心はふとしたことがきっかけで生まれるのです。

こんなエピソードがあります。ノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士(88)の子供時代のお話です。

ご飯やお風呂をたく、お手伝いをしていたときのことでした。燃料になる木に火をつけるために、魚の干物を包んでいた新聞紙を燃やすと、普通はオレンジ色の炎が黄色くなることに気づいたそうです。

白川英樹博士と森喜朗首相(当時)=2000年10月18日、首相官邸

これは「炎色反応(えんしょくはんのう)」といい、燃やしたものの中に含まれる金属の成分によって色が変わる現象です。魚の干物に含まれる塩(塩化ナトリウム)が反応して黄色くなったのでした。おもしろいですね!

そのことを知った白川博士は、学校の実験室で、ほかの金属も試して色の変化を楽しんだそうです。やがて大人になって、有名な科学者になりました。知っていてほしいのは、将来につながるきっかけが、日々のお手伝いのなかで見つけた「なぜ」だったということです。

不思議だなと思ったら、もっと知りたくなりませんか。大事なのはそのままにせず、もう一歩進んで考えてみることです。次に、声に出してみる。うまく言葉で説明できなくったってかまいません。大人はちゃんと聞いていてくれます。

そうして謎がとけたとき、皆さんはきっと、「やった!」と思うはずです。得意な気分になるかもしれません。それは「満足感」や「達成感」という気持ちです。その体験はとても心地がよいもので、だんだん知ることが楽しくなります。

皆さんの毎日は知らないことであふれています。まずそれに気付き、もっと知ろうと思い、行動することが大切です。何にでも興味を持ってください。皆さんの可能性は宇宙のように無限大(むげんだい)です。

2025年5月5日付産経新聞【主張】を転載しています

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