
夜中に喧嘩で集まったクルド人らしい中東系外国人たち(川口市民提供)
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参院選で外国人問題が争点になっている。国政選挙では初めてのことではないか。
令和6年末の在留外国人数は約376万人と過去最多となった。それとは別に、昨年は3600万人以上の外国人が日本を観光に訪れた。昔と異なり、外国人は隣人となっている。
大多数の外国人は、日本の法律と慣習を守り、節度をもって暮らしている。
そうであっても、外国人による犯罪や、ルールや慣習に反する迷惑行為が目立つようになった。日本の宝である治安の良さは守り抜かねばならない。

また、法律に沿った外国人の行動であっても、日本人の生活に負の影響を及ぼす事例も出てきた。たとえば、首都圏を中心にマンション価格がバブル期以上の高値になっているが、その背景の一つに、中国人・資本による不動産取得の影響が指摘されている。
医療費が高くなる患者の自己負担を抑える高額療養費制度を利用するために、来日する中国人がいるとされる。
林芳正官房長官は会見で、外国人をめぐり「国民が不安や不公平感を有する状況が生じている」と語った。
日本は日本人の国だ。それを前提に、日本人と外国人が安心して暮らしていけるようにしなければならない。法律や慣習の順守はもちろんだが、法律が問題をはらむなら改めることもためらってはなるまい。

厳しい国際環境の中で、安全保障上の対応も求められる。外国資本による、自衛隊などの重要施設周辺の不透明な土地取得・保有はあってはならない。
外国人問題を論じる上で留意すべき点が2つある。まず、外国人への憎悪(ヘイト)を煽(あお)ったり、幕末の攘夷運動のような排外主義に陥ったりすることは絶対に避けるべきだ。
もう一つは、外国人をめぐる問題を提起したり、対策を論ずる人たちに「排外主義」「ヘイト」のレッテルを貼って議論を封じてはならない、ということだ。言論の自由に反し、民主主義の否定になるからである。
埼玉県川口市では日本人市民とクルド人の間で軋轢(あつれき)が生じている。日本は、大量の難民・移民によって社会が混乱する欧米諸国の轍(てつ)を踏んではならない。外国人政策の議論を冷静に、着実に進めたい。
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2025年7月15日付産経新聞【主張】を転載しています
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