プルデンシャル生命保険のロゴマーク=東京都千代田区
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この会社は生命保険会社の体をなしているのか。むしろ詐欺師の集まりとみなされても仕方あるまい。前代未聞の不祥事である。
外資系生保大手プルデンシャル生命保険の社員らが長年、架空の投資話を持ち掛けるなどして顧客から巨額の金銭をだまし取っていた。
しかも不正に関わった社員や元社員らは100人以上というから根が深い。とても個人の犯罪と言い逃れできるレベルではない。顧客に安心を提供する生保としてあり得ないのはもちろん、それ以前に企業としての存在意義が問われる事態だ。
不正の温床とみられるのが過度な成果主義である。新規契約を獲得した社員が大きな報酬を得る一方、業績を挙げられない社員には経費や生活資金が不足する例もあったとされる。
間原寛社長が2月1日付で引責辞任したのは当然だ。新規契約の販売活動を9日から90日間自粛するとも発表した。だが、これだけで再発を防止できるとは考えにくい。抜本的な社内改革で企業風土を根本から変えなければ、日本での事業継続さえ危ぶまれると認識すべきである。

金融庁は悪質性を重くみて立ち入り検査に踏み切った。厳正な処分が必要である。当局による徹底した捜査も求めたい。
一連の不正行為は、令和6年6月に元社員が詐欺容疑で逮捕されたことを機に実施した社内調査で明かされた。被害にあった顧客は約500人に及ぶ。不正は平成3年から30年以上にわたり、顧客から奪った金額は計31億円に上る。法令順守意識の欠落があまりに深刻だ。
同社は独立した補償委員会で事案ごとに精査し、被害金額を全額補償する方針だ。迅速に被害者に返金すべきである。そもそも社内調査だけで全容を解明できたのか。第三者委員会を立ち上げ、厳格な調査を実施することが不可欠である。
情報開示に消極的な姿勢も問題だ。これだけ大規模な不正にもかかわらず、当初は記者会見の予定もなかったという。事案の重大性について経営陣の認識が希薄だったのではないか。
保険業界では、銀行などへの出向者による情報持ち出しが明らかになるなど不祥事が相次いでいる。保険会社の生命線は信用である。全ての業界関係者は改めてそのことを銘記しなければならない。
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2026年2月6日付産経新聞【主張】を転載しています
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