石破茂首相と、来日した李在明韓国大統領が会談、日韓関係の安定的な発展や、日米韓の連携強化の重要性を確認した。
Lee Ishiba joint press conference cabinet secretariat rs

会談後の共同記者発表に臨む石破茂首相と韓国の李在明大統領(左)=8月23日午後、首相官邸

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石破茂首相と、来日した李在明韓国大統領が会談した。

両首脳は日韓関係の安定的な発展や、日米韓の連携強化の重要性を確認した。北朝鮮の完全な非核化や露朝軍事協力への対処で緊密に連携するとした。

李氏は日本人拉致問題について、日本政府の即時解決方針を支持した。

李氏が訪米に先立ち日本を訪問したのは、「激変する地政学的環境の下でともに対応できるパートナー」だからという。米国とそれぞれ同盟を結ぶ日韓の協力は地域の平和と安定に重要で、来日自体は評価できる。

会談に臨む石破茂首相と韓国の李在明大統領=8月23日)

ただし、日韓の共同発表文書では、「北朝鮮」は名指ししても「中国」への直接の言及はなかった。懸念される台湾有事をどう抑止するか。日韓が米国とともに対中抑止で協力するという明確で力強いメッセージを打ち出さなかったのは残念だ。

かつて李氏は「台湾海峡がどうなろうと、われわれには何の関係もない」と発言したことがある。韓国が対中関係で日和見を決め込めば、中国の台湾併吞(へいどん)の野心が余計刺激される。

李氏は未来志向の日韓関係を目指すというが、それにふさわしい行動を伴う必要がある。

李政権発足後の7月、韓国軍は島根県の竹島周辺海域で訓練を行った。未来志向の行動とはほど遠い。

島根県の竹島

産経新聞などの書面インタビューで李氏は、慰安婦や「徴用工」などの問題について過去の日本政府との合意を守るとした。政権交代があっても国家間の約束を守るのは当然だ。

だが李氏は「被害者の完全な名誉回復のための解決策を共に模索していきたい」「事実を認めて謝罪し(当事者を)心から慰労する過程が重要だ」など、日本側に新たな謝罪や対応を促す発言もしている。

今年は戦後80年、日韓国交樹立から60年が経(た)つ。未(いま)だにこうしたおかしな発言が繰り返されることを憂慮する。

韓国が持ち出す慰安婦や「徴用工」問題は、史実を歪(ゆが)めた理不尽な言いがかりだ。

また、日本の朝鮮統治時代にかかわる問題は国交樹立時の日韓基本条約や関連協定で解決済みである。この国際社会、国際法の常識を韓国の大統領が踏まえなければ、日韓の安定した関係はいつまでも築けないと肝に銘じてもらいたい。

2025年8月24日付産経新聞【主張】を転載しています

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