警察庁が、中国政府の関与が疑われるハッカー集団「ミラーフェース」による対日サイバー攻撃の実態を明らかにした。
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中国を後ろ盾とするハッカー集団に関する記事

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警察庁が、中国政府の関与が疑われるハッカー集団「ミラーフェース」による対日サイバー攻撃の実態を明らかにした。

令和元年から昨年までに、この中国系ハッカー集団が日本の安全保障や先端技術に関する情報を狙って210件のサイバー攻撃を仕掛けてきたことが確認された。警察庁サイバー特捜部と全国の警察の捜査によるものだ。

到底容認できない攻撃である。石破茂政権は中国政府に一切のサイバー攻撃をやめるよう要求すべきだ。攻撃側のサーバーを無力化する「能動的サイバー防御」導入も急がれる。24日召集の通常国会で関連法案を必ず成立させる必要がある。

「ミラーフェース」の手口は、マルウエア(悪意あるソフト)をメールに添付したり、ダウンロードさせるリンクを送信したりして感染させる「標的型メール攻撃」や、外部から内部ネットワークに接続するための仮想専用線(VPN)の脆弱(ぜいじゃく)性に乗じ侵入する「ネットワーク貫通型攻撃」などだ。

外務省や防衛省、内閣官房、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、シンクタンク、先端技術を持つ民間企業とその関係者、政治家らを攻撃した。安保や先端技術の情報を盗み見ていた恐れがある。

使われていたマルウエアは、中国の諜報機関である国家安全省とつながりがあるとされた別のハッカー集団のものと類似していた。マルウエアのコードには中国の簡体字があった。攻撃のタイミングが中国側の勤務時間であったり、長期休暇の期間は攻撃がなかったりした。

これらから、警察庁は「ミラーフェース」には中国政府の関与が疑われると判断した。関与断定へ捜査を続け、断定時は名指しで中国政府を批判する「パブリックアトリビューション」を実施する。

中国の王毅外相(右)と握手する岩屋外相=2024年12月25日(代表撮影・共同)

警察庁が中国政府の関与の疑いを公表した意味合いは極めて大きい。現時点でも十分、外交で取り上げるべき案件だ。まさか、王毅中国共産党政治局員兼外相の来日が近くあるから断定を控えたわけではなかろう。

過去にも中国系ハッカー集団の対日サイバー攻撃はあった。石破首相と岩屋毅外相は、王氏との会談で、今回の「ミラーフェース」も含め主要議題にしなければならない。

2025年1月13日付産経新聞【主張】を転載しています

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