Same-sex marriage tokyo court

同性婚訴訟の東京高裁判決を受け、会見した原告と弁護団=10月30日、東京都千代田区(関勝行撮影)

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同性婚を認めない民法などの規定について東京高裁は、違憲との判断をくだした。

男女間を前提とし、社会の根幹を成す婚姻制度を壊しかねない不当な判決だと言わざるを得ない。

訴訟は同性カップルの当事者7人が国に計700万円の損害賠償を求めていた。全国5地裁に6件起こされた同種訴訟で、高裁判決は札幌に続き「違憲」とされた。

最高裁の統一的判断が示されていないことなどから、国への賠償請求は退けられた。

同性婚訴訟の東京高裁判決を受け、旗を掲げて喜ぶ原告ら=10月30日午前、東京・霞が関(関勝行撮影)

判決では、同性婚を認めない規定について法の下の平等を定めた憲法14条1項と、結婚や家族に関し個人の尊厳や平等に立脚した立法を求めた24条2項に違反すると断じた。

男女間にしか結婚を認めないことは「合理的な根拠に基づかない差別的取り扱いにあたる」とまで踏み込んだ。

東京タワーの高さにちなんだ333匹のこいのぼりが親子連れを楽しませていた=4月18日午後、東京都港区(共同)

だが、国側が主張してきたように婚姻制度は、男女の夫婦が子供を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与える目的がある。歴史的に形成された社会の自然な考え方であり、これに根拠がないと断じる方が乱暴ではないか。

憲法24条2項を挙げ、「違憲」とする解釈には無理がある。同条1項で婚姻は「両性の合意のみに基づいて成立」すると規定し、「両性」が男女を指すのは明らかだ。これを受けた2項も男女の結婚などに関するものだ。国側が言うように、憲法は同性婚を想定しておらず、違憲の問題を生じる余地はない―と考えるのが妥当だ。

判決では各種の世論調査で同性婚を支持する人が増えているとしている。同性同士にも結婚に相当するような法的保護を与えることへの社会的な受容度が「相当高まっている」とも言う。それなら同性婚を想定していない憲法の改正を論議するのが筋ではないのか。

判決では、異性間の婚姻とは別の規定を含め「複数の選択肢」があるとし、立法を求めている。

同性愛など性的少数者への偏見や差別をなくす取り組みが必要なのはもちろんだが、そうした権利擁護と、結婚や家族のあり方の議論は分けて考えるべきだ。民法などの結婚や家族に関する規定は、伝統や慣習を立法化したものであり、国民の合意を得た慎重な議論が必要だ。

2024年11月5日付産経新聞【主張】を転載しています

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