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米軍基地問題を巡る沖縄県の「外交」が、出鱈目(でたらめ)であったということだ。
県が「基地問題を解決するため」として米ワシントンに設置した事務所が、実態と異なる株式会社として事業登録されていたことが発覚し、県議会が昨年度の県一般会計決算を不認定とした。
県は、ワシントン事務所の駐在員のビザ取得の際、県職員の身分であるのに「社長」などとし、米移民局に「沖縄県から直接雇用されることはない」と記載した虚偽の書類を提出していたという。法律上必要な県議会への報告も怠っていた。
自治体のやることかと、あきれるほかない。県議会が決算を認めなかったのは当然だ。県は直ちに、違法な事務所を閉鎖すべきである。
事務所は平成27年、当時の翁長雄志知事が、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対などを訴えるために設置された。非営利事業者として登録するつもりだったが、米国務省から「政治的だ」などと指摘され、現地の弁護士らの助言で県が100%出資する株式会社を設立した。
だが、そうした実態は明らかにされず、設立にあたって取得した株式も県の公有財産として登録されていなかった。玉城デニー知事になってからも引き継がれ、県は人件費や活動費として、毎年度の予算に約1億円を計上していた。
問題発覚後、玉城氏は会見で「深く反省している」と述べたが、陳謝で済む話ではない。なぜ長年にわたり違法な対応を続けたのか、調査して県民に説明する必要がある。関係者の処分も欠かせない。
玉城氏が事務所を継続する意向であるのは論外だ。事務所は基地問題における「独自外交」の拠点とされ、知事訪米時の対応などを行ってきた。だが、外交と安保は国の専管事項であり県に権限はない。国の方針を真っ向から否定する県の二重外交は、国益を著しく損なう。
沖縄の島である尖閣諸島周辺では、中国海警局の武装船が挑発をエスカレートさせている。台湾有事が日本有事に直結することも懸念される。
沖縄の自衛隊と米軍が抑止力となり、県民を含む国民の生命、財産を守っている現実を、玉城氏は理解しているのか。
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2024年12月16日付産経新聞【主張】を転載しています
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