
米ワシントンの連邦議会議事堂(共同)
This post is also available in: English
米連邦議会の超党派の議員がトランプ大統領に対し、北朝鮮による日本人拉致被害者の「帰還」に向けた政策を優先するよう求める書簡を送っていたことが判明した。書簡の全文は以下の通り。

◇
「重要な人道的問題」
2025年4月4日
米大統領閣下
私たちは米国、日本、北朝鮮の関係における重要な人道的問題を提起し、関心と行動を喚起するために、この書簡を差し上げました。数十年前、北朝鮮は少なくとも17人の日本人を拉致し、そのうちの何人かは現在も北朝鮮に拘束されています。
貴政権が北朝鮮政策の策定と実施、そして北朝鮮政府と改めて関与するにあたり、私たちは謹んで、同盟国の日本と緊密に協力し、家族が待ち望んでいる拉致被害者の帰還を今一度、優先させるよう強く求めます。
北朝鮮は1970年代から少なくとも17人の日本人を拉致しました。他にも拉致の可能性を否定できないケースは数多くあります。数十年にわたる否認の後、北朝鮮は2002年にようやく拉致を認めましたが、拉致被害者のうち日本に帰国したのはわずか5人に過ぎません。
「残された拉致被害者の家族で唯一の親」
現在も北朝鮮に拘束され、消息不明の拉致被害者の一人である横田めぐみさんは、1977年に13歳で拉致されました。母親の早紀江さんは89歳で、47年間娘との再会を待ち続けています。早紀江さんは、残された拉致被害者の家族で現在も生きている唯一の親です。
第1次(トランプ)政権時代、あなたは2017年の国連総会での演説でめぐみさんのケースを取り上げ、国際的な注目を集めました。あなたはさらに、17年と19年の2回にわたって日本人拉致被害者の家族と面会しました。
第118回連邦議会(23年1月~25年1月)では、北朝鮮に対し、残っている拉致被害者やその遺骨を解放、返還し、被害者とその家族に相応の補償を行うよう求める決議案が上下両院で提出されました。

貴政権が北朝鮮政策を立案、実施するにあたり、私たちは次のように考えています。
「成功すれば歴史的」
日本人拉致被害者の窮状に関して再び世界的な注目を集め、被害者とその家族のために正義を実現するための有意義な前進をもたらすまたとない機会を大統領は持っていると確信しています。
私たちは謹んで、同盟国の日本と協力して北朝鮮政府と関わり、残りの拉致被害者の解放と帰還を確保するよう強く求めます。それが成功すれば歴史的な外交政策の達成となり、長い間待ち望んでいた家族に(問題の)終結と正義をもたらすことになるでしょう。

ご配慮に感謝いたします。この人道的課題に共に取り組むことを心待ちにしています。
◇
筆者:坂本一之(産経新聞ワシントン支局)
This post is also available in: English