全国で外国人や外国法人に買われた農地が昨年だけで東京ドーム37個分もあり、前年の2倍に広がったことが農林水産省の調べで分かった。中国からが最も多い実態が浮かんだ。
Japanese farmland

日本の農地は今後も大丈夫なのだろうか

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全国で外国人や外国法人に買われた農地が昨年だけで計175.3ヘクタール(東京ドーム約37個分)もあり、前年の90.6ヘクタールの2倍に広がったことが農林水産省の調べで10月1日までに分かった。中国からが最も多い実態が浮かんだ。

それによると、外国法人(海外在住の外国人が主要な株主や理事になっている法人も含む)が取得したケースが昨年、3例あった。いずれも中国の法人で、茨城県行方市の0.9ヘクタール、山梨県甲州市と愛媛県西条市で0.2ヘクタールずつが買われていた。

これとは別に、日本在住の外国人377人が計95ヘクタールを購入していた。国籍別で内訳をみると、中国(102人)や韓国(42人)、ブラジル(42人)、米国(27人)、ベトナム(24人)、スリランカ(15人)といった順に多かった。

ほかに、日本在住の外国人が主要な株主や理事になっている法人32社が計79ヘクタールを取得したことも確認された。こちらも、国籍別にみると中国や韓国が多かった。

海外に買われる農地面積を年別にみると、2022年は154.1ヘクタールだった。いったん翌23年は減ったが、24年には再び増加したことが分かる。

4月から外国人の農地取得の条件が厳格化された=宮城県栗原市(中村雅和撮影)

「全国でわずか0.004%にすぎない」

同省農地政策課は「農地法に基づき、投資目的での農地取得はできない。そもそも耕作される営農目的で買われている」と指摘したうえで、「外国人や外国法人が昨年取得したのは全国でわずか0.004%にすぎず、一概に増加傾向にあるとはいえない」と説明する。

2023年9月から、農地取得者には国籍や在留資格の農業委員会への報告が義務付けられたが、同省はそれ以前の正確な取得状況は把握していないという。

同課の担当者は「農地台帳で今後、適切に国籍を拾いあげ、把握する仕組みがしっかりと整えば、これまでに全国でどの程度、外国人や外国法人に買われたか、その累計は分かるだろう」と語る。

日本は世界貿易機関(WTO)協定の一部である「サービスの貿易に関する一般協定」(GATS)に加盟する際に、外国人の土地取得を規制して外国人が不利になるような留保条項は盛り込まなかった。こうした外資規制が「緩い」現状はいつまで続くのか。

筆者:村上智博(産経新聞)

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