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フジテレビジョン本社=1月27日、東京港区台場(海藤秀満撮影)
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Fuji Television Facing New Reform Demands After Nakai Sex Scandal
(中居氏の女性スキャンダル後、新たな改革要求に直面するフジテレビ)
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なぜ、こんなことになってしまったのか、日本のメディアの何が問題なのか、救いと再生の道はどこにあるのか―。
タレントの中居正広氏と女性とのトラブルが明るみに出たことが契機だった。フジテレビは先日、10時間を超える前代未聞の記者会見を開き、女性に対する人権意識の低さや企業風土、コーポレートガバナンス(企業統治)への疑問など数々の問題が露呈した。それを目の当たりにして、さまざまな問いや思いが頭の中を駆け巡った。
英語ニュース・オピニオンサイト、JAPAN Forward(JF)は、本紙の有志たち数人が集まって8年前に立ち上げた独立ネット・メディアだ。フジテレビとの資本関係はなく、比べ物にならない極小メディアである。
それでも、メディアとしてその〝失敗〟の本質に学び、自らも改善していくことは、JF、そして日本のメディアの未来にとって意義あることだ。JFはその認識で、内部で議論しながら同問題を手厚く世界に伝えることにした。
上の英文(日本語訳)は先週、掲載したフジテレビ問題に関する記事の見出しである。JFのアリエル・ブゼット記者が執筆した。
記事は、見出しにもあるように、フジテレビの親会社、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の大株主である米投資ファンドがフジテレビの社長や会長の辞任など先の記者会見で示された対応では不十分であるとする内容の書簡をFMHに送り、信頼回復のためにさらなるガバナンスの改革を求めたと伝えた。
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書簡は、フジテレビの日枝久取締役相談役(87)を「独裁者」と呼び、「なぜ、40年近くにわたって一人の独裁者が巨大な放送局グループを支配するのを許されたのか」と糾弾した。これについては、日枝氏が肩書を超えた影響力を持つ相談役である事例の一つかもしれない、とする企業統治に詳しい牛島信弁護士のコメントも記事で紹介していた。
フジテレビは6日、清水賢治新社長をトップとした「再生・改革プロジェクト本部」を設置し、再発防止と企業風土改革を推進すると発表した。その進展に期待したい。
記事は最後に、フジテレビのスポンサーが大量に撤退を発表する中で、フジテレビへのCMを再開させた給湯器の設置企業、キンライサーがXで公開した声明を紹介していた。内容は、臆測で人や企業をたたくのではなく、誠実に問題に向き合い努力する人の姿勢を尊重し未来に目を向けるべきだと判断した、というものだった。
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JFを運営する一般社団法人ジャパンフォワード推進機構の太田英昭代表理事はかつて、FMH社長を務めていた。JFの会議で太田代表に聞くと、「事態が流動的なので、折々のコメントは無責任になりかねず取材には応じない」としながらも、「必要な時が来たら、JFに寄稿する形で同問題についての見解を公表したい」と言明した。
人間は、誰でも失敗を犯す。重要なのは、その失敗にどう向き合い、公益のために何をなすかではないだろうか。特に、社会的に大きな影響力を持ち、公的な役割も兼ね備えた巨大企業のリーダーであれば、その責任は重い。リーダーたちが今後明らかになる調査結果を受けてどのような判断を下し、行動に移すのか。前出のキンライサーではないが、失敗を改善につなげていくことこそがいま求められている。
変革の時は間違いなくやってきている。日本のメディアはこれを機に本当に変わることができるのか。JFは、日本の議論と改革の行方を世界に伝えていきたい。
筆者:内藤泰朗(JAPAN Forward編集長)
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2025年2月17日付産経新聞【JAPAN Forward 日本を発信】を転載しています
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