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高市早苗首相とトランプ米大統領が東京・元赤坂の迎賓館で会談した。日米の両首脳が安全保障や経済安全保障、通商の分野での協力を確認し、強固な同盟関係を内外にはっきりと示したことを評価する。
Donald Trump Sanae Takaichi summit

会談後、署名した文書を手にする高市首相(右)とトランプ米大統領=10月28日、東京・元赤坂の迎賓館(ゲッティ=共同)

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日米の両首脳が安全保障や経済安全保障、通商の分野での協力を確認し、強固な同盟関係を内外にはっきりと示したことを評価する。

高市早苗首相とトランプ米大統領が東京・元赤坂の迎賓館で会談した。対面で会うのは初めてだ。両首脳は北朝鮮による拉致被害者の家族と面会した。その後、大統領専用ヘリで米海軍横須賀基地へ移動し、米原子力空母ジョージ・ワシントンを視察した。

両首脳は、対米投資など関税合意を履行する文書やレアアースなど重要鉱物の供給確保に関する文書に署名した。担当閣僚が造船能力拡大に向けた日米協力の覚書を結んだ。

経済安保も対中抑止を

首相は会談で、「日米同盟の新たな黄金時代をトランプ大統領と築いていきたい」「(日米同盟は)世界で最も偉大な同盟となった。日本も共に世界の平和と繁栄に貢献していく」と述べた。

トランプ氏は「われわれは最も力強いレベルの同盟国だ」と応じた。首相と安倍晋三元首相の関係にも触れ、「(高市氏は)最も偉大な首相の一人になるだろう」と語った。

首相はトランプ氏との関係を良好な形でスタートさせた。トランプ氏の好意的な言動は、高市政権の政治姿勢を評価しているのに加え、首相を安倍元首相の「後継者」と見ているからでもあるだろう。トランプ氏と盟友だった安倍氏は没後も日本外交に貢献している。

石破茂前首相はトランプ氏との接触をなるべく控えるようにした印象が強い。これは日本の国益を大きく損なった。

日米首脳の良好な関係は同盟の基盤である。それなくして平和と繁栄は守れない重みがある。その点で首相がトランプ氏をノーベル平和賞に推薦する意向を伝えたのも肯(うべな)える。トランプ氏の関心を極東やインド太平洋地域に引き付けておかねばならない。

首相はトランプ氏に防衛力強化の方針を伝えた。両首脳は日米同盟の抑止力と対処力の強化で一致した。「台湾海峡の平和と安定」や北朝鮮の完全な非核化の重要性を確認した。日米豪、日米比、日米韓など安保協力推進でも合意した。

トランプ氏は会談で「われわれは最も力強いレベルの同盟国だ」と指摘し、「(日本が)防衛能力を大幅に強化しようとしている」と評価した。

米原子力空母ジョージ・ワシントン艦上で、高市首相を紹介するトランプ大統領(内閣広報室)

米空母での演説でトランプ氏は日米同盟について「太平洋における平和と安全の礎だ」と指摘した。首相は「平和は言葉ではなく、確固たる決意と行動で守られる」「防衛力を抜本的に強化し、この地域の平和と安定に貢献していく」と語った。

台湾有事や朝鮮半島有事の懸念は増している。専制国家の中露朝は戦略的連携を強め、ますます脅威となっている。日米同盟の強化は有事を抑止するために欠かせない。

拉致被害者解放を促せ

経済関係は繁栄の鍵であり、安全保障も左右する重要テーマである。

トランプ氏の来日で、経済安保の連携を確認した意義は大きい。レアアースや造船をめぐる日米協力は、中国の傍若無人な行動を抑える狙いがある。

レアアースはハイテク産業の基盤となる原材料で、供給で中国が圧倒的なシェアを占めている。30日に米中首脳会談が行われる予定だが、中国はレアアースの輸出規制をちらつかせ揺さぶりをかけてきた。日米で採掘や加工を含む強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)を確立していきたい。

中国の急速な軍拡に対応するため、米海軍の増強は急務だが米国の造船能力は低下して久しい。日本の協力は、戦略的な意義を帯びている。

拉致被害者家族と面会するトランプ大統領(内閣広報室)

トランプ氏は拉致被害者家族に「(拉致問題が)常に心の中にある」と述べ、解決へ「できる限りのことをやる」と表明した。拉致という残酷な国家犯罪を解決したいというメッセージになったのではないか。

拉致被害者家族会は会見し、横田めぐみさんの母、早紀江さんは「何かいいことが起きるよう信じる」と述べた。

高市政権が解決へ全力をあげるべきはもちろんだが、米国による対北圧力は大きな意味がある。トランプ氏は金正恩朝鮮労働党総書記との会談に意欲を示してきた。北朝鮮に対して拉致被害者全員の早期解放を促してもらいたい。

2025年10月29日付産経新聞【主張】を転載しています

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