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令和7年度の文化勲章に、心臓血管外科学の川島康生氏が選ばれた。国内外の心臓病の子供たちを救うため、産経新聞が提唱する「あけみちゃん基金」では長く運営委員長を務めた。
Dr Kawashima Order of Culture Award

あけみちゃん基金で長く運営委員長を務め、鈴木裕一・産経新聞大阪本社代表(当時、左)から感謝状を贈られる川島康生氏=2022年、大阪本社 (安元雄太撮影)

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令和7年度の文化勲章に、心臓血管外科学の川島康生氏が選ばれた。国立循環器病研究センター名誉総長、大阪大名誉教授の川島氏は日本の心臓外科の発展を牽引(けんいん)し、臓器移植法の成立に寄与するなど心臓移植医療の確立に大きく貢献した。

国内外の心臓病の子供たちを救うため、産経新聞が提唱する「あけみちゃん基金」では長く運営委員長を務めた。偉大な恩人の受章を心より祝福する。

昭和41年、産経新聞の社会部に匿名の投書が届いた。田舎にいる5歳のめいが重い心臓病に苦しんでいるが、費用が工面できず手術を受けることができない。そう切々と訴えていた。

手紙の消印から記者が投書の主を探し出し、めいの住む鹿児島県に飛んだ。少女に会い、両親から取材し、6月7日の社会面に「貧しいがゆえに死なねばならぬか」と題する記事が掲載された。反響は大きく、少女の治療費の何倍もの善意が社に寄せられ、手術は成功した。

両親や寄託者の意向をくみ、この寄付を基に設立されたのが、少女の名を冠した「あけみちゃん基金」である。

「あけみちゃん基金」に救われた子供たち

米国留学帰りの若手医師だった川島氏は、基金を適用した子供の手術を度々執刀し、多くの子供の命を救った。平成15年からは基金の運営にも参画し、25年からは運営委員長を務め、計19年にわたって適用の妥当性などを決定してきた。

適用範囲は国外にも広がり、経済的理由で治療を受けられない海外の子供の手術を日本の病院で行ってきた。基金の適用で治療を受けた子供は東南アジア、中国、南米など国内外で約500人にのぼり、ミャンマーへの医療支援も行っている。これらは「国内外にかかわらず一人でも多くの子供の命を救いたい」という、川島氏の熱い思いに支えられてきた。

川島氏は29年の講演で基金の歴史を振り返り、「この国の国民は善意に満ちあふれていると思う」と述べた。

別の機会には、「阪神大震災では、暴動や略奪は起こらなかった。外国の人はそれを不思議がったが、日本人は、外国人がそんなことを疑問視することを逆に不思議がった」と話したこともある。

川島氏の信じる日本人の善性を、より確かに実感できる国でありたい。

2025年10月21日付産経新聞【主張】を転載しています

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