
儀仗隊による栄誉礼を受けるヘグセス米国防長官(右)。左は中谷防衛相=3月30日午前、防衛省
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アジアを歴訪したヘグセス米国防長官が、台湾を含むインド太平洋地域の平和と安定のため、同盟国と連携しつつ抑止力強化を図る方針を表明したことを歓迎する。
ヘグセス氏は3月30日、東京・市谷の防衛省で中谷元・防衛相と会談した。
両氏は、日米同盟の抑止力と対処力を一層強化することで一致した。日米がそれぞれ防衛力を高めることも確認した。
平和を守るため日米同盟の力で対中抑止を実現したい。
ヘグセス氏は会談冒頭、日米同盟はかつてないほど強固だとし「台湾海峡を含めた抑止」を議論すると語った。共同会見でも「中国共産党(政権)の威圧的行動に日米が結束して立ち向かう。米国は台湾海峡を含むインド太平洋で信頼のおける抑止力を維持する」と述べた。

28日には、訪問先のフィリピンでマルコス比大統領を表敬訪問し「中国共産党からの脅威を考慮するとフィリピンでは抑止力が必要だ」と述べ、米比同盟の重要性を強調した。
ヘグセス氏の一連の言動からは、九州から南西諸島、台湾を経てフィリピン、南シナ海にいたる第1列島線を中国に渡さない決意が見て取れる。台湾有事が日本有事に容易に転化することを考えれば、トランプ政権の国防長官が対中抑止強化の決意を示し、日本などと協力する姿勢を示した意義は大きい。
日本の防衛費増を期待するヘグセス氏は中谷氏との会談で具体的数字を論じなかった。軍拡を続ける中国を抑止するため、日本は防衛費増を含め自衛隊増強を自主的に進めるべきだ。
日米が共同して行動する態勢が抑止力向上には必要だ。自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みの強化に関連し、ヘグセス氏は在日米軍司令部を「統合軍司令部」に再編する計画の第1段階を開始したと明かした。ヘグセス氏が語ったように「戦える司令部」への進化を期待する。
29日には先の大戦(大東亜戦争)の激戦地、硫黄島で日米合同慰霊式が開かれ、石破茂首相と中谷、ヘグセス両氏も参列した。ヘグセス氏は30日の会談で「(自衛隊と米軍の部隊は)昨日の式典でも見た通り、先人からの戦う精神、名誉あるレガシーを引き継いでいる」と振り返った。この発言は強固な日米同盟の今を示している。
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2025年3月31日付産経新聞【主張】を転載しています
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