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日本の若者たちの「声」を世界に届けるJAPAN Forwardの企画「Ignite」の第8回。今回は2024年に開催された北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールで英語エッセイ高校生部門の最優秀賞を受賞した、愛媛県立西条高等学校2年(受賞当時)、守江咲良さんの「Passing The Baton」を掲載します。
[受賞作品は上の (This post is available in English) のリンクをクリックしてください。]

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[和訳]
バトンをつなぐ
あなたのお子さんが突然消えてしまい、二度と戻らなかったらあなたはどうしますか。1977年にこのような悲劇が実際に起きました。13歳の横田めぐみさんが北朝鮮の工作員によって拉致されたのです。横田家の物語は、北朝鮮が犯した拉致問題の象徴であり、日本が今でも直面している痛ましい現実を表しています。(解決に向けての)努力は今でも続いていますが、この苛酷な人権侵害は未解決のままです。未来を担う私たち若者にはこの問題を深く理解し、世界中の人々の意識を高める責任があります。そして、この正義のための戦いのバトンを受け取り、未来に向かって走り続け、次の世代へ届けなくてはなりません。
北朝鮮の拉致問題について私が初めて知ったのは、小学生のときでした。当時の私はこの問題について全く分かっておらず、真相を本当に理解し始めたのは、最近受けた公共の授業の中でアニメ『めぐみ』を観てからでした。このアニメを観て深い衝撃を受けました。何十年もの苦痛にもかかわらず、めぐみさんのご家族は彼女と再会するという願いを決して諦めず、今でも真相を求めてこの問題を追い続けていると知ったからです。ご家族のたゆまぬ努力に感化され、私も、これまで以上に拉致問題に関心を持たなければならないと思いました。
内閣府の2023年の調査によると、回答者の73.6%が拉致問題に関心があるとのことですが、これは2013年の86.4%から10%以上も減っていることになります。そして私にとって一番ショックだったのは、18~29歳の回答者の中ではたった64.1%しか関心がないということです。その数値は拉致被害者のご家族の方々の高齢化が進む中、私たちが拉致被害者の気持ちを心に刻むということが、ますます重要であることを示しています。11月に行われるわが校の文化祭では、拉致問題の意識を高めるための独自のチラシを作って生徒や先生方、父兄の皆さん、そして私の住む地域全般に配ろうと思っています。全ての人がこの問題を意識する機会をつくることが、拉致被害者全員の可能な限り早い帰還につながるのです。
加えてこの問題は、地球規模の問題であり、解決のために国際的な協力が必要となることを覚えておくことがとても重要です。北朝鮮による拉致は日本だけではなく、中国、タイ、フランスなどの各国でも起きているのです。だから、私は自分の英語力を伸ばして数多くの国際イベントやボランティア活動に積極的に参加し、外国人との交流を通してこの問題に関する意見交換をするのが私にできることだと思っています。さまざまな国の人の意見に耳を傾けることで、私たちが歩みをそろえてこの問題に対する理解を深めることができます。

結論として、拉致問題は決して他人事という考え方ではなく、国民一人ひとりが関心を持つべき普遍的な問題であるという考え方に変えるべきだと確信しています。私は、アニメ『めぐみ』を再び観ることで、拉致被害者の心情にいっそう寄り添うことができ、この問題に対する興味をさらに強くしました。今後は、国籍を問わず人々がこの問題に関心を持てる機会をつくることで、正義のための戦いのバトンをつないでいきます。自分自身が積極的な行動をとることで、拉致被害者とそのご家族の一生の願いが叶う未来に向けての架け橋となりたいです。
守江咲良さんのコメント
拉致問題に対して抱いた感情や今後していきたいことを意識して書きました。作文に込めた思いが多くの人に伝わって関心を持つ人が増えたら嬉しいです。
北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール
政府拉致問題対策本部では全国の中高生を対象に、拉致問題関連の映像作品、舞台劇の視聴や拉致問題関連書籍の読書等を通じて拉致問題を知ってもらい、拉致被害者や拉致被害者御家族の心情を理解するとともに、拉致問題解決のために自分に何が出来るのか、何をすべきかについて深く考える機会とすることを目的として、北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールを実施しております。詳しくはhttps://www.rachi.go.jp/jp/shisei/sakubun.htmlをご覧ください。
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