
南シナ海で空撮された中国海警局の大型船=1月13日(フィリピン沿岸警備隊提供・共同)
This post is also available in: English
中国が、海上警備を担う海警局(海警)の武器使用権限を明確化した「海警法」を施行してから2月1日で4年。海警は東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で威圧を常態化させているほか、台湾周辺では中国人民解放軍と連携した活動も積極化させている。南シナ海で領有権を争うフィリピンに対しては、トランプ米政権の出方もにらみつつ圧力を増している。
中国当局の船が尖閣周辺で確認された日数は2024年に計355日となり、12年の尖閣国有化以降で最多を更新した。装備の増強も進めており、昨年6月には機関砲搭載船4隻が同時に領海侵入したことが初めて確認された。
海警法は21年2月1日に施行された。制定目的に「国家主権や安全、海洋権益を守る」ことを掲げ、軍などとの協力を強化することを明文化した。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)によると、海警幹部は1月26日に海警法の意義について「中国の管轄海域とその上空において権利を守る法執行活動を行う役割を海警に与えた」と強調した。海警は18年から最高軍事機関の中央軍事委員会の指揮下に入っており、「第二海軍化」が進んでいると指摘される。
実際、中国軍との連携は進んでいる。中国軍が昨年5月と10月、台湾の周辺を取り囲む形で大規模な軍事演習を行った際、海警も歩調を合わせて訓練やパトロールを実施した。有事の際、外国商船が台湾に寄港することを防ぐなどして中国軍をサポートすることを想定しているとみられる。
筆者:三塚聖平(産経新聞中国総局)
This post is also available in: English