訪米した石破茂首相がトランプ大統領と初の対面会談を行った。トランプ氏の就任後、イスラエルに続く2番目の首脳会談だ。
Trump Ishiba fireside chat Oval Office Kantei rs

ホワイトハウスで会談するトランプ米大統領(右)と石破首相(©首相官邸)

This post is also available in: English

今回の日米首脳会談を評価したい。

訪米した石破茂首相がトランプ大統領と初の対面会談を行った。トランプ氏の就任後、イスラエルに続く2番目の首脳会談だ。

会談や共同記者会見は友好的な雰囲気だった。トランプ氏は防衛協力に関連し「米国の抑止力、能力を使って友好国、同盟国を100%守る。石破首相と私は密接に協力し、平和を維持する」と語った。

共通の脅威である中国や北朝鮮に対し、日米の首脳が安全保障で足並みをそろえた意義は極めて大きい。

今回の会談の背景には、安倍晋三元首相とトランプ氏の信頼関係や、安倍政権以来の歴代内閣の安保政策の推進があった点を強調しておきたい。

共同声明は「自由で開かれたインド太平洋」の堅持や、日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用、「台湾海峡の平和と安定」維持の重要性を確認した。拉致問題の即時解決への日本の決意を米国は支持した。

石破首相は今回の会談に安堵(あんど)して対米外交を疎(おろそ)かにしてはいけない。共同声明で謳(うた)った「日米関係の黄金時代」の追求には同盟強化が欠かせない。

首脳会談後、笑顔を見せるトランプ米大統領と石破首相(©首相官邸)

共同声明で首相は、総額43兆円の支出が終わる2027年度よりも先の防衛力の抜本的強化の継続を約束した。確実な実行が必要だ。トランプ氏は訪日招待に応じた。習近平中国国家主席の訪日よりも先に実現すべきだ。

経済では双方が国益を追求する重要性を確認できた。日本が投資や雇用で米国に貢献した実績や、対米投資を1兆ドル規模にしたいとの石破首相の意向が一定の理解を得たのだろう。

日本製鉄のUSスチール買収計画については「買収ではなく多額の投資」との認識で一致した。最終決着は見通せないが、日鉄への門戸を閉ざした前政権の判断を覆す上で前進と受け止めたい。

液化天然ガス(LNG)などの対日輸出増も合意した。調達先の多角化や有事の輸入継続につながる安保上の意義に加え、対日貿易赤字削減にも資する。パイプライン建設などのコストも吟味して進めてほしい。

今回の会談で米国の高関税政策が日本に及ぶ可能性が否定されたわけではない。石破政権は米政府との意思疎通を一層緊密にしなければならない。

2025年2月9日付産経新聞【主張】を転載しています

This post is also available in: English

コメントを残す