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衆院予算委員会で答弁に臨む石破茂首相=国会内
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石破茂首相と全閣僚が出席する衆院予算委員会の基本的質疑が行われている。
2月7日開催で調整中のトランプ米大統領との首脳会談に臨む首相の姿勢に関する質問が相次いでいる。
首相は「両国の国益を満たすような新しい形の同盟構築について話し、同盟を新たな高みに引き上げる」と述べた。
東アジアを含む世界の平和と安定のために、日米同盟の重要性は高まっている。首相はトランプ氏と国際情勢に対する認識をすり合わせ、覇権主義的な動きを強める中国への危機認識と戦略を共有する必要がある。
だが、どのような対中認識、戦略で首脳会談に臨むのか、首相は予算委で語らなかった。日本有事に直結する台湾有事に関し突っ込んだ質疑も行われておらず、残念である。防衛力の抜本的強化や、日米豪、日米比、日米韓など多国間の枠組みによる抑止力向上の重要性ももっと議論すべきだ。
驚いたのは、立憲民主党の岡田克也元外相の対米認識である。石破首相は「自由で開かれた太平洋とは、力による現状変更は認められないということだ。日米間で共有する。齟齬(そご)が生じるとは思っていない」と述べた。
これに対し岡田氏は「力による現状変更は中国を念頭に置いた考え方だと思うが、中国だけでなく米国も、というところに問題がある」「関税を使って脅しをかけることも力による現状変更ではないか」と語った。
表層的で外交センスを疑う認識だ。米国と共産主義国家である中国の動きを同一視するような発言は、理解できない。石破首相が「米国がこの地域で力による現状変更を試みているとは承知していない」と答えたのは当然である。
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ロシアのウクライナ侵略を巡る論議も不十分だ。ロシアと北朝鮮は「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結し、北朝鮮はウクライナに軍を派兵した。朝鮮半島有事の際、ロシアが参戦する形で、日本有事へ拡大する恐れがある。
首相も国会も安全保障環境に対する危機感が足りない。令和7年度予算案の修正を巡る与野党の攻防が本格化しているが、日本の独立と繁栄の基盤となる安保論議をおろそかにしてはならない。
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2025年2月4日付産経新聞【主張】を転載しています
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