Total Views:6  (last 5 days) 
---- Daily Views ----
array(1) {
  ["2025-11-23"]=>
  int(6)
}
新潟県の花角英世知事が東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について、容認の意向を表明した。花角氏の前向きの決断を評価したい。
Niigata governor Hanazumi energy security

新潟県庁で臨時記者会見する花角英世知事。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働容認を表明した=11月21日午後

This post is also available in: English

新潟県の花角英世知事が東京電力柏崎刈羽原子力発電所(同県柏崎市、刈羽村)の再稼働について、容認の意向を表明した。

懸案の地元同意につながる花角氏の判断が示されたわけである。これにより、平成23年の東電福島第1原発事故を受け、同24年以降、全7基が停止していた柏崎刈羽原発の再稼働の実現が近づいた。

県の責任者として慎重な検討に傾くあまり、時を要しすぎた問題はあるものの花角氏の前向きの決断を評価したい。

12月県議会での了承を待たねばならないが、柏崎市と刈羽村の両首長は既に容認を表明しており、花角氏の表明で地元同意に関する最大の山場を越えたことになる。

柏崎刈羽原発の安全対策強化や諸工事に汗を流した東電社員、協力企業の人々の弛(たゆ)まぬ努力をねぎらいたい。

全ての手続きが完了すれば、東電は6号機(改良型沸騰水型軽水炉=出力135・6万キロワット)を稼働させる作業に着手する。同機へのウラン燃料は装荷済みなので、年度内に営業運転を開始できる見通しだ。

新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=11月7日

6号機が動けば東電は年1千億円の収支改善が見込まれる。福島第1原発の廃炉などで巨額の赤字に苦しむ同社にとって、その効果は大きい。

柏崎刈羽原発は、首都圏を支える存在だ。東電にとって初となる6号機の再稼働によって国の中枢機能を脅かす電力逼迫(ひっぱく)リスクも軽減される。同時に、再稼働が進んだ関西電力や九州電力に比べ高くなっている電気料金の値下げにも道が開ける。

こうした役割に照らすと東日本大震災の影響などで柏崎刈羽原発の全基停止が13年半以上も続いた事態は深刻である。

長期停止の一因は、発電所員によるIDカードの不正利用などに対して原子力規制委員会が発出した事実上の運転禁止命令が、令和3年4月から2年以上続いたことによるものだ。

東電には6号機の再稼働に向けての準備中に再度のトラブルが発生することのないよう、徹底した現場管理に注力してもらいたい。九仞(きゅうじん)の功を一簣(いっき)に虧(か)くようなつまずきは許されない。7号機の再稼働も急ぎたい。

東電は柏崎刈羽原発の再稼働に、日本のエネルギー安全保障がかかることへの重い覚悟を持たねばならない。

2025年11月22日付産経新聞【主張】を転載しています

This post is also available in: English

コメントを残す