国内で、昨年1年間に外国人や外国法人に買われた森林が382ヘクタールあったことが林野庁の調べで分かった。こうした事態に外資規制は「ない」というのが現状だ。
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日本の山林は大丈夫か

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国内で、昨年1年間に外国人や外国法人に買われた森林(私有林)が382ヘクタールあったことが林野庁の調べで分かった。東京ドーム(広さ約4.7ヘクタール)81個分、東京ディズニーランド(約51ヘクタール)では7.5個分にもあたる広さだが、同庁によると、こうした事態に外資規制は「ない」というのが現状だ。このまま〝放置〟し続けていて日本の山林は大丈夫なのか。

北海道が最多 大半が「資産保有」のため

同庁によると、住所が海外にある外国法人と外国人による取得は計48件あった。面積は計171ヘクタールだ。内訳をみると、北海道が富良野市やニセコ町、倶知安町など36件(162ヘクタール)と最多だった。中国や香港の個人など、大半が「資産として保有するため」という理由からで、28件を数えた。白糠町では「太陽光発電」設置のため、シンガポールの法人が93ヘクタールを得ていた。

ほかに、リゾート地の長野県軽井沢町では中国人が「資産保有」を目的に0.2ヘクタール、オーストラリアの法人が白馬村で「宅地造成」のため0.1ヘクタールを買っていた。大分県日田市ではドイツの法人が「太陽光発電」開発のため2ヘクタールを購入していた。これらとは別に、国内の外資系企業が37件、計211ヘクタールを得ていた。

一体、日本全体では今までどれほどの森林が買われてきたのか。同庁によると、政府は森林の所有者となった場合の各市町村への届け出などから、2006年までは取得状況をさかのぼることができるという。

全国でみれば0.07%にすぎないというが…

それによると、06年から昨年までの累計で794件、1万396ヘクタールが外国人や外国法人の手に渡っていたことが都道府県を通じ、確認されている。これは全国の私有林の面積(1431万ヘクタール)からみれば0.07%にすぎないが、東京ドームで換算すると2200個分を上回る面積だ。05年より以前については「実態は分からない」(担当者)という。

東京ドーム

当初は将来的に「投資」をするために買われたはずの森林が、後に「太陽光パネル」設置といったように、取得目的が変わる場合がある。同庁は「都道府県の許可を得ればそうした変更は問題ない。外国人や法人が森林を買うのも一般の土地と同じで、規制はかかっていないのが現状だ」(担当者)と語った。

筆者:村上智博(産経新聞)

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