横浜市の自動車販売店「クラシカ」は、1970年代以前に生産されたクラシックカーや、70~90年代のネオクラシックカーを中心に扱う。若き整備士、山田拓実さんの目標は「次の世代の旧車整備士」だという。
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車両の整備を行うクラシカ(CLASICA)の山田拓実さん=8月2日午前、横浜市都筑区(鴨志田拓海撮影)

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店内に足を踏み入れると、日産の初代フェアレディZやスカイラインなどの名車が目に飛び込んでくる。丸いライトやフェンダーミラーなど、今の車にはない美しさがあった。

横浜市都筑区の自動車販売店「クラシカ」は、1970年代以前に生産されたクラシックカーや、70~90年代のネオクラシックカーを中心に扱っている。

スカイライン(右手前)やフェアレディZ(同左)など名車が並ぶ(鴨志田拓海撮影)
車体は綺麗に磨かれている

「クラシックカーを好むのは、人間味があり、面白く、かわいいからです」と話すのは、整備士の山田拓実さん(22)。前職は自衛隊の車両整備士という異色の経歴の持ち主だ。

高校時代から使用している1932年式の自転車。ライトはマッチを使用し、オイルランプに点火する(矢島康弘撮影)

古いものが好きで、戦前の自転車やバイクを所有するほど。きっかけは「紅の豚」「カリオストロの城」など宮崎駿監督のアニメ作品に描かれるレトロな世界観だという。

1941年式、英国製バイクの「マチレス」を所持。修理を重ね公道デビューも間近だ(矢島康弘撮影)
ライトにマッチで火が灯される(鴨志田拓海撮影)

既になくなったメーカーの車両も多数扱っている。「整備は本当に大変。部品がなかったり、合わなかったりすることもあります」と作業をしながら話す山田さん。

キャブレター(燃料気化器)など現在は使われなくなった装置は、整備方法も現行の車種と異なり、試行錯誤の連続だ。「わからないことがわかった時は、とても嬉しく、勉強になる」という。

整備を受けるトライアンフTR-4(鴨志田拓海撮影)

クラシックカーは最近の車より壊れやすく手がかかるが、その分、手をかけただけよくなっていく。「いじるうちに、かけがえのない相棒になるのです」と思いを語った。

店内に並ぶ車両。手前はマツダコスモAP、左後はイギリスのトライアンフTR-4(鴨志田拓海撮影)

山田さんの目標は「次の世代の旧車整備士」だという。

「古い車に触れられる場所や機会は、年々減っているので、整備士も育ちにくい。あと2、30年後には整備できる人もかなり限られて来るんじゃないかな。そんな時に、技術を継承し、旧車の文化を守っていきたいと思っています」

若き整備士の挑戦は始まったばかりだ。

筆者:鴨志田拓海、矢島康弘(産経新聞)

■クラシカ(CLASICA)
営業時間は、午前10時~午後7時。日祝定休。
神奈川県横浜市都筑区仲町台4-19-18 コンドレア横浜Ⅱ1F

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