インバウンドでにぎわう京都で、自転車絡みの事故が後を絶たない。平らな道が多い京都市内では自転車による危険な走行が増えているといい、京都府警などが警戒を強めている。
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自転車通行禁止エリアを走る外国人を取り締まる京都府警の自転車取り締まり小隊(通称Be―Unit(ビーユニット))の隊員=5月、京都市(小野田銀河撮影)

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インバウンド(訪日外国人客)でにぎわう古都・京都で、レンタサイクルなど自転車絡みの事故が後を絶たない。京都市の市道では7月下旬、自転車と接触しかけた市営バスが急ブレーキをかけ、転倒した乗客の女性が骨折する事故も発生。規制を知らない観光客が、通行禁止エリアに侵入するケースも多いという。平らな道が多い京都市内では自転車による危険な走行が増えているといい、京都府警などが警戒を強めている。

ルール知らず侵入か

「危ないよ!ここ自転車ダメだから!」

観光地へ向かう乗用車やタクシーが行き交う古都のメインストリート、四条通で、警戒していた京都府警の警察官が声を張り上げた。

大声に振り向いたのは外国人観光客の男性。思わぬ制止に驚いた様子で、逆に理由を尋ねていた。

悪質運転を取り締まっていたのは京都府警の交通機動隊内に昨年4月に発足した自転車取り締まり小隊、通称Be―Unit(ビーユニット)だ。幅の狭い道や、一方通行の道が多い京都市中心部をメインに隊員が自転車に乗り、悪質な自転車や電動キックボードの取り締まりに当たっている。

府警によると、四条通でもたびたび取り締まりを行っているが、日常茶飯事で違反が繰り返されている。

地形が平坦(へいたん)な京都市中心部は移動が容易なこともあり、日々多くの自転車が行き交っている。

それだけに車と自転車の事故防止対策は最重要課題だ。

このため、四条通と河原町通の一部区間は、車の通行が多い午前8時~午後9時の間、自転車を含む軽車両の通行が禁じられている。

京都府警によると、記録が残っておらず、規制が始まった正式な時期は不明だが、少なくとも30年以上前から存在するルールだという。かつて路面電車が走っていたことから、交通上の安全の理由があったとみられる。

ただ、規制についての看板も出ているが、このことを知らない観光客は少なくない。近年はレンタサイクルの利用者による違反が後を絶たないという。

イヤホンをつけながら自転車通行禁止エリアを走行する人を呼び止める京都府警の自転車取り締まり小隊の隊員=京都市(一部画像処理しています)

危険な状況続く

特に四条通は平成26年の歩道の拡張工事により、片側2車線から片側1車線に変更された。バスやタクシーの乗降場など駐停車が繰り返される場所が多く、規制時間外であっても、自転車で通行するには危険な状況が続く。

府警によると、過去5年間でこの規制エリアでの自転車が絡む事故は約10件起きている。うち規制時間内に起きたのはおよそ半数の6件。

空前の訪日観光客に沸く今、ルールを知らない観光客らがレンタサイクルで違反行為を繰り返すリスクもあり、府警は関係団体と連携しながら、レンタサイクル事業者に対して規制の周知を利用者に要請するなどしている。

府警幹部は「自転車利用者のルール順守やマナーの意識の低さが目立つ。車両を扱っているという認識を持ち、責任ある行動を心がけてもらいたい」と訴えた。

筆者:小野田銀河(産経新聞)

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