
政策協議に臨む自民党の高市早苗総裁(中央右)と日本維新の会の藤田文武共同代表(同左)ら=国会内(春名中撮影)
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自民党と日本維新の会が、連立政権樹立に向けた政策協議を続けている。
正式合意すれば、維新は臨時国会で行う首相指名選挙で、自民の高市早苗総裁に投票する方針だ。
維新が実現を求めた12項目のうち憲法改正や安全保障、原発を含むエネルギーなどの基本政策については一致している。
両党間で隔たりのある食料品の消費税率0%への引き下げや企業団体献金の禁止、国会議員定数の1割削減などの扱いは調整中だ。

日本は難局に直面している。それに対処するため、政治に安定を取り戻すことが重要である。自民と維新にまず期待するのは、一致した基本政策の議論を深め、具体策へ結び付けていくことだ。
昨年の衆院選や先の参院選からも分かるように、左派的主張の政党は有権者の支持を失いつつある。現実的政策の遂行が時代の要請だ。12項目には外国人政策も含め自民の主張と重なるものも多い。優先順位をつけて進めたい。
維新の要求のうち外交安全保障では、令和4年に岸田文雄内閣(当時)が決めた安全保障関連3文書の改定前倒しや、反撃能力を持つ長距離ミサイルなどのスタンド・オフ防衛能力の整備などが盛り込まれている。
反日的で核武装した専制国家の中国、ロシア、北朝鮮が戦略的連携を深め、脅威が高まっている。急速に変化する安保情勢に合わせた防衛力の抜本的強化は急務だ。

国の根幹をなす憲法改正については、憲法第9条改正に関する条文起草協議会の設置や、緊急事態条項に関する条文案の国会提出などを明記した。
自民と維新は第9条への自衛隊明記を主張してきた。最終的には戦力不保持をうたう第9条2項を削除し、「軍」の保持を認める必要がある。協議会が設置されれば、将来をにらんだ議論もすべきだ。南海トラフ巨大地震などの大規模災害や有事の懸念がある中、緊急事態条項の条文化も進めねばならない。
安定的な皇位継承策の実現に向けては、旧宮家の男系男子の養子縁組を実現する皇室典範の改正を求めている。政府報告書で示された内容だ。男系継承という皇統の最重要原則を踏まえた方策の実現が急がれる。
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2025年10月18日付産経新聞【主張】を転載しています
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