自民党総裁選討論会が行われ、議論は物価高対策を含む経済政策、エネルギー政策、連立政権の枠組みなど多岐にわたった。
LDP Candidates debate National Press Club 2025

日本記者クラブ主催の討論会に参加した高市早苗・前経済安保相(右から2人目)、右は小泉進次郎・農水相 =9月24日午後、東京・内幸町(代表撮影)

This post is also available in: English

日本記者クラブ主催の自民党総裁選討論会が行われた。

議論は物価高対策を含む経済政策、エネルギー政策、連立政権の枠組みなど多岐にわたった。

だが、候補者間で大きな違いが感じられなかったのは残念だ。決選投票を見据え、幅広く支持を得るためかもしれないが、内外の課題が山積する中で、日本の舵(かじ)取り役を自身が担わなければならない理由をもっと語ってほしかった。

一方で、共同記者会見やテレビの討論会であまり取り上げられなかった安全保障について、論戦があったのはよかった。トランプ米大統領のもとでの日米同盟の在り方や、地域で軍事的圧力を強める中国との関係についても質疑が行われた。

小泉進次郎氏と高市早苗氏

外交安保のやり取りで、有力候補の一人である小泉進次郎農林水産相に注文をつけたいことがある。防衛力の抜本的強化についてだ。「わが国自身が強くなければ国民の安全、安心を守ることはできない」と述べたのは、その通りである。

同時に「防衛費対GDP(国内総生産)比2%を着実に実現すべきだ」「防衛力の具体的な中身を検討し、財源も確保しながら必要な金額を確保したい」と述べた。

海上保安庁などの予算を含めた防衛関係費として語ったとみられる。そうであるなら不十分だ。現行計画より先の防衛費の在り方を明確に語らねばならない。増額なしでは、厳しい安保環境に対応するのは難しい。

小林鷹之元経済安全保障担当相が「2%では到底足りない。積み上げていくべきだ」と語ったのは妥当だ。各候補はもっと安保の議論をしてほしい。

反日的で核武装した専制国家の中国、ロシア、北朝鮮は戦略的連携を深め、脅威が高まっている。ウクライナではドローン(無人機)の戦いが進んでいる。サイバーなどの新領域での備えも必要だ。日本が後れを取るわけにはいかない。

安保といっても、ウクライナ侵略を続けるロシアや、核・ミサイル戦力の強化を進める北朝鮮への対応は論じなかった。北朝鮮による日本人拉致事件への言及もなかった。

国の根幹をなす安定的な皇位継承策の実現や、憲法改正問題についても論議してもらいたかった。

2025年9月25日付産経新聞【主張】を転載しています

This post is also available in: English

コメントを残す