自民党と日本維新の会による憲法改正条文起草協議会の初会合で挨拶する自民党の新藤義孝氏=11月13日午後、国会内(春名中撮影)
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自民党と日本維新の会が、憲法改正の条文起草協議会の初会合を開いた。
連立合意を踏まえ、憲法第9条改正と緊急事態条項創設について、憲法改正原案のための条文を作る。
憲法改正に前向きな自民、維新両党が条文化作業に着手する意義は大きい。改憲の機運を高めることにもなる。
第9条に関し、自民は自衛隊の明記を訴えている。維新は今年9月の提言で、「戦力不保持」を定める第9条2項を削除して集団的自衛権の行使を全面的に容認するとともに、自衛権と国防軍を明記することを打ち出した。
両党の訴えには違いがある。だが、もともと自民は、維新と同様の考えを持っている。自民が平成24年に党議決定した「日本国憲法改正草案」では、第9条2項を全面的に改めて自衛権を明記するとしている。さらに、次の条文として「第9条の2」を新設し、国防軍の保持を定めるとしていた。

自民と維新は、国家と国民を守り抜くための条文について精力的に議論し、最も望ましい案を作成したらどうか。その上でなぜその改正が必要かを国民に訴えることが重要である。
緊急事態への備えも同様だ。南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模災害や有事の懸念が高まる中、緊急事態条項創設は急務になっている。
自民、維新は緊急事態が生じた際の国会議員任期延長や、緊急政令の規定を設けることで足並みをそろえている。公明は連立離脱前、緊急政令について慎重姿勢を示していた。新しい連立のもとで、国民を守るための緊急事態条項の条文を起草すべきである。
一方、今国会で初めて衆院憲法審査会の幹事懇談会が開かれた。自民の船田元・与党筆頭幹事は、27日に予定する幹事懇で衆院憲法審に条文起草委員会を設置するよう提案したい考えを記者団に表明した。

衆参への起草委設置も連立合意に盛り込まれている。自民と維新は起草委設置に賛同するよう各党に働きかけてほしい。
衆参各院の憲法審はこれまで蝸牛(かぎゅう)のような歩みだった。日本の政治は憲法改正原案の作成という新たな段階に踏み出すべきだ。自民と維新には主導的な役割を期待したい。
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2025年11月14日付産経新聞【主張】を転載しています
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