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政治、経済、文化などの多様な分野で国際的に業績を挙げている若い研究者を表彰する「第20回中曽根康弘賞」の授賞式が11月29日、都内のホテルで行われた。優秀賞を受賞したオーストラリア国立大学のシロウ・パトリック・アームストロング(Shiro Patrick Armstrong)氏は、「これまでのキャリアを注いできた日豪関係、平和に向けて今後、さらに頑張りたい」と述べた。アームストロング氏は、アジア太平洋を代表する経済学者として、日豪間の懸け橋としての役割を果たすなど顕著な実績を挙げたことが評価された。
アームスロング氏は、授賞式のスピーチで、「日豪は、ともに重要なミドルパワーです。両国とも安全保障でアメリカと同盟国とともに、中国が最大の貿易相手国となっています。地政学的、経済保障上の亀裂が世界に走っていますが、日本と豪州の裏庭の出来事です。それでも、地政学の復活、気候変動の加速、高まる保護主義などのリスクがグローバルに介在するなか、世界経済が破滅に向かいかねない軌道に乗っています。ここで必要なのは、明確な目的意識をもって、グローバル社会が行動をとり、軌道修正をすること、政策的な議論を深めることで、経済の多国間秩序を守っていくことがアジアの繁栄に不可欠です」と訴えた。
続けて、「日豪には、東南アジアのパートナー国とともに果たすべき重要な役割があります。地域と世界をよりよいものにする役割です。今こそ、実用的で現実的な思考と行動が必要です。まさに中曽根先生といえば、思い出す、そんなふるまいが大切です。日豪は、この地域に新たな戦略を策定し、経済安全保障を担保しないといけない」と述べた。
そのうでで、「日豪にとっての優先事項は、繁栄と安全保障を両立させる戦略を推進すること。繁栄と安全保障は、二者択一ではありません。国家安全保障のために経済効率を犠牲にする必要はありません。日豪の経済安全保障政策は、開かれた市場とルールに基づくシステムを前提としています。アメリカでさえ、ルールを放棄し始めています。むしろ、東京とキャンバラは積極的な戦略のもと、ルールルに基づく経済体制を守り、近代化していく必要があります。そのためには、ミドルパワー間の連携を世界で強めていく必要があります」と訴えた。
激励賞は、早稲田大学教授の遠藤環(たまき)氏、政策研究大学院大学准教授の高木祐輔(ゆうすけ)氏、法政大学教授の福田円(まどか)氏の3氏が受賞した。遠藤氏は、東南アジアを専門とする研究者として、政策対話に積極的に参画したことなどが評価された。
東南アジアが専門の高木氏は、研究成果を内外に発信するなどした。中国・台湾の関係を専門とする福田氏は、中台関係理解の基礎となる知見を活発に発信するなどした。
中曽根賞を主催する中曽根平和研究所は「第21回中曽根賞」の対象者を募集している。申請は、https://forms.office.com/r/ud6XqSX6mXmade
(JAPAN Forward)
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