
南海トラフ巨大地震を想定した大阪府警の訓練=2023年1月17日午前、堺市北区
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南海トラフ巨大地震への対策を検討する政府中央防災会議の有識者会議(主査・福和伸夫名古屋大名誉教授)は3月31日、被害が最大となるケースで死者約29万8000人、全壊建物約235万棟とする最新の被害想定を公表した。平成26年に策定した対策推進基本計画では死者約33万2000人、全壊建物約250万4000棟としていた。政府は有識者会議の報告を受け、基本計画を改定する。
報告書は最大級の被害が起きるケースを想定。原因別の死者は建物倒壊が約7万3000人、建物火災が約9000人。津波ではすぐ避難する人を20%と仮定した場合で約21万5000人とした。70%になれば約9万4000人に抑えられるとした。原因別の全壊建物は、地震約127万9000棟▽津波約18万8000棟▽火災約76万7000棟-としている。

見直しでは以前より地盤や地形のデータが高精度化され、震度分布や津波浸水範囲が拡大。津波浸水深30センチ以上の面積が3割増えた。震度6弱以上または津波高3メートル以上となる市町村は31都府県764市町村に及ぶ。経済被害額は214兆円から増え、最大270兆円と試算した。
一方、住宅耐震化率が約90%(平成20年比11ポイント増)、海岸堤防の整備率が約65%(26年度比26ポイント増)となるなど対策も進んだ。
これらを踏まえ、26年の基本計画と比較可能な地震津波を想定した場合、死者は約26万4000人で約20%、全壊建物は208万4000棟で約17%それぞれ削減。10年間に死者8割減、全壊建物5割減とする基本計画での目標には及ばなかった。
インフラ被害は津波浸水域の拡大などで増加。24年の被害想定と比べ、停電軒数は最大約2950万軒で約1割増、避難者数も最大約1230万人で約3割増だった。
避難生活中に死亡する災害関連死者数を初めて試算し、最大5万2000人とした。また、南海トラフ想定震源域の東半分と西半分のどちらかで先に大規模地震が起き、もう片側で時間差を空けて地震が起きた場合の「半割れ」被害も初めて想定した。
(産経新聞)
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