プロボクシング世界スーパーバンダム級4団体統一王者の井上尚弥とWBA暫定王者のアフマダリエフの防衛戦が9月14日愛知県名古屋市・IGアリーナで行われる。
Naoya Inoue

防衛戦に向けて練習する井上尚弥=9月2日、大橋ボクシングジム

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プロボクシングWBAスーパー、IBF、WBC,WBO世界スーパーバンダム級4団体統一王者のMONSTER・井上尚弥(32・大橋ジム)とWBA暫定王者のMJ・ムロジョン・アフマダリエフ(30・ウズベキスタン)のスーパーバンタム級4団体王座防衛戦が9月14日愛知県名古屋市・IGアリーナで行われる。戦績は、井上尚弥が30戦30勝27KO、アフマダリエフが14戦13勝10KO1敗。アフマダリエフの唯一の敗戦は、2023年4月に米国で、マーロン・タパレスに判定負けした試合である。アフマダリエフは、敗戦となったタパレス戦について、9月1日の会見で「左手首の骨折をして治りきれず、第2ラウンドで不利になった。怪我の影響は(勝敗に)あった」とコメントしている。

7月10日の公式記者会見で、大橋ジム大橋秀行会長は、「井上尚弥は、デビューして13年経つが、キャリアの中で一番の最強の強敵となる」と断言し、「大橋ボクシングジムチーム力で団結して試合に臨む」と警戒した。

Naoya Inoue
練習を公開し、記者の質問に答える井上尚弥=9月2日、大橋ボクシングジム

アフマダリエフの警戒するポイントを問われた井上尚は、「アフマダリエフの全てのボクシングスキルに注意を払いながら、ボクシングを組み立てていきたい。その中には、細かな技術、フィジカル、テクニックが詰まった選手」とアフマダリエフに敬意を表した。またこれまでの記者会見では、試合の事前に、KOシーンでの決着を期待させるコメントも発していたが、今回のアフマダリエフ戦については、「今回は判定決着でもいいんじゃないかなと、自分自身は思っているので、しっかりと勝ち星を取りにいくという強い気持ち」でボクシングを組み立てながら慎重に試合に臨むことを想定していると話し会見は終了した。

練習を公開したアフマダリエフ=9月1日、大橋ボクシングジム

9月1日、横浜市大橋ボクシングジムで、アフマダリエフは、報道陣の前に練習を公開した。リング上でシャドーをした後に、トレーナー相手にサウスポースタイルでミット打ちも披露。評判通りのパワーで、ジャブやストレート、フックなどのコンビネーションも公開した。会場で見ていた父である井上真吾トレーナーは、「右フック」が印象に残ったと言い、「パワーがしっかりあるのかな」とパワー面を警戒した。また「バランスもすごく良い」と話し、「もともとトップアマチュアなので、イメージ通り」とアフマダリエフの感想を語った。

練習前の会見で、アフマダリエフは、「日本に来たのは、井上尚弥選手に勝つために、歴史を作るために、日本に来た」と話し、また、井上尚より優れている点を問われて、「ボクシングの総合力では自分が(井上尚と比べて)勝っている」ときっぱり答えた。

試合プランについては、「チームでなにをやるべきか、またやらないべきかはあるが、今は言わない。試合当日に目で見てもらえれば」と煙に巻いた。前の試合でカルデナスのセコンドについたジョエルトレーナーが、今回アフマダリエフに戦略的なアドバイスを中心に帯同してきた。スパーリングは、100ラウンドを超えた練習量をこなした。最後に、「この試合は、私のキャリア最大の試合となり、150%かけている」と意気込んだ。

Naoya Inoue
防衛戦に向けて練習する井上尚弥=9月2日、大橋ボクシングジム

2日、同じく横浜市大橋ボクシングでチャンピン・井上尚弥は練習を公開した。以前スティーブンフルトン戦では、フルトンが公開練習を30秒で切り上げると、井上尚も30秒で切り上げたことがあったが、今回はシャドーと、ミット打ちを披露し、前日のアフマダリエフの公開練習に応える形になった。ミット打ちでは、ワンツーから強烈フックやアッパーなどを太田光亮トレーナーのミットに打ち込んだ。

会見では、大橋秀行会長は「今回はスパーリングパートナーの層の厚さ(タパレス、帝拳の選手)、内容の濃さ、スパーリングの出来は、過去最高で、試合まで楽しみでしかない。楽しみにしてください」と太鼓判を押した。

帝拳ジムに出稽古に行った井上尚は、「初心に戻るという、新たな気持ちで試合に挑めていると思う」と、慢心はない。井上真吾トレーナーは、「今回も最高の仕上げで、最高な練習が出来た」と話し、スパーリングは今週も入れて120ラウンドを重ね、テーマをもって練習をしていたことで、凄く充実した内容の練習が出来たと取材陣に答えた。

練習前に記者の質問に答えるアフマダリエフ=9月1日、大橋ボクシングジム

井上尚は、唯一アフマダリエフの怖い点は、「フィジカル面、パワー面」とポイントをあげた。ただ、「いくら頑丈な選手でも、(パンチが)効くときは効くので、今回は強引なボクシングをするつもりはない」とカルデナス戦の反省を踏まえて戦う。7月の会見と同じ、これまでの対戦相手の中でも「最大の難敵は変わらない」と、フルトン戦、ネリ戦以上の集中力をもって臨む。

2025年7月に開業した名古屋IGアリーナでは、初のプロボクシング興行であり、井上尚弥が首都圏以外で試合をするのも初めてとなる。チケットは10分で全席完売となった。世界中にも配信される一戦に、「楽しみとワクワクをもって名古屋に行きたい」と言ったモンスター井上尚弥が、世界中をワクワクさせる名古屋決戦から目が離せない。当日、試合に招待された中谷潤人の前で、モンスターが鮮烈なKO劇を見せつけるのか。当日の試合は、NTT Lemino で生中継される。

筆者:佐藤新

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