「奈良のシカ」が何者かに暴力を振るわれる動画がSNSで拡散された問題を受けて、奈良県はシカに暴行を加えるなどの加害行為を新たに奈良公園内の禁止行為に追加した。
Nara deer DJ police

A "DJ Police" Nara prefectural police officer raises awareness about preventing violence against deer. July 25, 2024, Nara City

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奈良公園(奈良市)周辺に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」が何者かに暴力を振るわれる動画がSNSで拡散された問題を受けて、奈良県は県立都市公園条例の施行規則に基づく運用の一部を改正し、シカに暴行を加えるなどの加害行為を新たに奈良公園内の禁止行為に追加したことが11日、分かった。施行は今月1日付。

白いTシャツの男が蹴る動画

追加されたシカへの加害行為は「みだりに、その身体に外傷が生ずる恐れのある暴行を加え、又はその恐れのある行為をさせること及びそれに準ずる行為」と規定している。

奈良のシカを巡っては、昨年7月、白いTシャツ姿の男が歩きながら蹴ったり叩(たた)いたりする動画がSNSに投稿、拡散され、非難の声が上がっていた。奈良のシカは国の天然記念物に指定されているため、殺傷すると文化財保護法違反で罰せられるが、同法で規定する程度に至らない加害行為も規制する必要性が高まった形となる。

シカへの暴力行為防止を啓発する奈良県警の警察官=令和6年7月25日、奈良市(鳥越瑞絵撮影)

県の担当者は産経新聞の取材に「暴行動画が拡散され、不適切行為を改めて注視する必要がある」と述べ、「文化財保護法違反に至らない不適切行為も暴行に準じる行為として禁止行為に追加した」と語った。

奈良公園では外国人観光客の増加などに伴い、シカに不用意に触ったりしてトラブルに発展するケースも相次いでおり、県警の「DJポリス」が啓発のため日本語、英語、中国語の3カ国語で呼び掛けるようになった。

筆者:奥原慎平(産経新聞)

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