日本の海上自衛隊、米仏両国の海軍が参加する共同訓練が行われている。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、海自の戦術技量の向上や参加国間の連携を強化することが目的。
JS Kaga with US and French Ships in Philippine Sea

The Japanese destroyer Kaga (center) with American and French aircraft carriers saili alongside each other in the waters east of the Philippines on February 12. (Photo provided by the Japan Maritime Self-Defense Force)

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海自、米海軍、フランス海軍の「空母」が参加する初の共同訓練「パシフィック・ステラー」。海自は事実上の空母として運用する護衛艦「かが」、米海軍は原子力空母「カール・ビンソン」、フランス海軍は原子力空母「シャルル・ドゴール」をそれぞれ派遣した。

訓練は10~18日の日程で、中国の挑発的な活動が続くフィリピンの東方で行われている。米国第一主義を掲げるトランプ政権でも、米国が多国間連携を続ける姿勢を確認した形だ。

中谷元・防衛相は7日の記者会見で「自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、各国との連携を深化させる」と述べた。

フランス海軍のフリゲート艦に装備されている主砲の76ミリ機関砲=2月13日午後、沖縄県うるま市(大竹直樹撮影)

仏のフリゲート艦と補給艦が沖縄寄港「自由な海守る」

フランス海軍のフリゲート艦と補給艦が2月13日、沖縄県うるま市の米軍ホワイトビーチに寄港し、内部が報道関係者に公開された。海上自衛隊と米仏海軍はフィリピン海で共同訓練「パシフィック・ステラー」を実施。日本からは事実上の空母化に向け改修が進む海自の護衛艦「かが」などが参加している。3カ国の相互運用性を高めるのが狙いだが、軍事的プレゼンスを示すことは覇権的な海洋進出を強める中国への牽制(けんせい)にもつながる。

寄港した補給艦は「ジャック・シュバリエ」。洋上で燃料や弾薬などを補給する新鋭で、全長194メートル。艦内は10の階層に分かれている。大型エレベーターで最上階の艦橋に移動すると、大開口の窓からは、水平線を見渡せる。甲板には、仏海軍の全ヘリコプターが発着できるヘリパッドを備え、同時に2隻に補給できる性能を有する。

補給艦「ジャック・シュバリエ」の艦橋には大開口の窓があり、水平線を一望できた=2月13日午後、沖縄県うるま市(大竹直樹撮影)

仏海軍によると、今回の共同訓練では10日、フィリピン海で「ジャック・シュバリエ」から海自の「かが」に燃料の補給を行ったという。

艦長のクリストフ・ゴーメ大佐は「太平洋地域は港から遠く、補給の難しい地域だ」と指摘。原子力空母「シャルル・ドゴール」を中心に編成された空母打撃群は太平洋まで展開しており、任務は「安全航行を確保し、国益を守る目的がある」と説明する。

作戦上の理由から仏海軍は艦名を公表していないものの、ホワイトビーチに同時に寄港したフリゲート艦も報道関係者に公開された。対空ミサイルの垂直発射装置や76ミリ機関砲などを装備。船尾のヘリパッドにはつり下げ式ソナーで海中の潜水艦を察知できるという対潜ヘリも搭載している。「空母打撃群の防衛の要」(仏海軍)だ。

中国は東・南シナ海で海洋進出を強め、日本の尖閣諸島周辺でも海警局の船の航行を常態化させるなどしている。

同艦長のジェオーム・アンリ大佐は「インド太平洋地域の自由な航行を目的に演習している」と語り、「海洋地域の優位性を保ち、運用能力を保持するため展開している」と強調した。

補給艦「ジャック・シュバリエ」のヘリ格納庫にフランス国旗が掲げられていた=2月13日午後、沖縄県うるま市(大竹直樹撮影)

筆者:大竹直樹(産経新聞)

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