NTTが正式社名を従来の「日本電信電話」から「NTT」に変更した。株主総会の承認や総務省の認可を経て、広く浸透していた通称を正式社名として採用した。
NTT old and new logos

旧社名/旧ロゴと、新社名/新ロゴ

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NTTが正式社名を従来の「日本電信電話」から「NTT」に変更した。

社名変更は、昨年成立した改正NTT法で可能になった。株主総会の承認や総務省の認可を経て、今月1日から、広く浸透していた通称を正式社名として採用した。

昭和60年の民営化以降、使用してきた社名の変更を決断したのは、固定電話などのウエートが低下し、事業内容との乖離(かいり)が大きくなったからだ。

日本企業は、情報通信分野ではグーグルなど「GAFAM」と呼ばれる米国の巨大IT企業に大きく水をあけられている。社名変更を新生NTTのスタートと位置づけ、グループの総力を結集して世界に存在感を示してもらいたい。

期待されるのは、国内外でITサービスやデータセンター事業を手掛ける上場子会社のNTTデータグループと、高速通信と電力消費の低減を両立する次世代高速通信技術「IOWN(アイオン)」だ。

握手を交わす、NTTデータグループの佐々木裕社長(左)とNTTデータの鈴木正範社長=6月26日午後、東京都江東区

生成AI(人工知能)などの普及に伴い、データセンター需要は世界的に急増している。データグループはデータセンターで世界3位のシェアがあり、NTTは総額2兆円超を投じて完全子会社化を進めている。

一方、データセンターやAIの利用拡大によって、電力需要は国内外で増大すると予想されている。NTTはIOWNを使うことで電力消費を従来の8分の1に抑えたサーバーを大阪・関西万博に展示している。IOWNをデータセンター事業に活用し、国際競争力の強化につなげてほしい。

NTTドコモ本社が入るビル=東京都千代田区

民営化以降、NTTは公正な競争を推進しようとする政府の意向も踏まえ、携帯電話などの有力事業を分社してきた。一方で、グループ力の分散を招き、海外IT企業に後れを取る一因になったことは否めない。

NTTは令和2年に完全子会社化したNTTドコモを皮切りに子会社の再統合を進めてきた。データグループの完全子会社化はグループ再編の仕上げと位置づけられる。

ドコモは国内携帯電話事業で競争力を高めるには至っていない。グループの総合力を生かし、世界市場での競争力を高めるにはどうすべきか。経営陣は明確な戦略を描き、実行に移してほしい。

2025年7月8日付産経新聞【主張】を転載しています

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