沖縄県議会は本会議で、自衛隊と隊員、家族に対する差別的な風潮を改め、県民に理解と協力を求める決議を賛成多数で可決した。
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自衛隊員への「差別的な風潮」を改める決議を可決した沖縄県議会=10月8日午後、那覇市(大竹直樹撮影)

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沖縄県議会は10月8日の本会議で、自衛隊と隊員、家族に対する差別的な風潮を改め、県民に理解と協力を求める決議を賛成多数で可決した。先祖供養の踊りを披露する「沖縄全島エイサーまつり」(沖縄県沖縄市)で一部市民団体が地元自衛隊の出演に反対した問題を踏まえ、県政野党の自民党会派は当初、「自衛隊員であることを理由とする職業差別を許さない決議案」を提案していたが、公明党会派との調整を経て「職業差別」から「差別的な風潮」という文言に改められた。

決議では「防衛政策への批判や抗議は表現の自由として尊重されるべき」としつつも、「表現の自由により、自衛隊員であるとの理由で社会参加の機会が奪われ、隊員や家族の尊厳が傷つけられることはあってはならない」として、県民に理解を求めている。

反対討論に立った「オール沖縄」系の瑞慶覧(ずけらん)長風氏(沖縄社会大衆党)は「県民が自衛隊に対して恐怖や不安、違和感、宣撫(せんぶ)工作に対して意見を表明するのは当然の権利だ。決議は国家権力による言論封殺ととられかねない」と憂慮。

緊急で記者会見を開いた自民党沖縄県連の幹部ら=10月8日午後、那覇市(大竹直樹撮影)

これに対し、自民党県議の新里治利氏は賛成の立場で「何の権限があって、自衛官だからと沖縄全島エイサーまつりから排除しようとするのか。エイサーに政治の都合を持ち込むことは断じて許されない」と強調した。

エイサーまつりを巡っては、陸上自衛隊第15旅団(那覇市)エイサー隊の出演に、市民団体「止めよう辺野古新基地建設沖縄市民会議」が「市民感情・県民感情からして許されない」と反発。主催者側に出演中止を要請したが、主催者側は「政治を持ち込む場ではない」と参加を容認した。

反発する市民団体に対し、SNS上では「職業差別だ」と疑問視する声が相次いだ。実際に参加した隊は多くの市民から拍手で受け入れられたが、沖縄県の玉城デニー知事は「自衛隊が参加するという決定事項のみが伝えられ、発表された。反感的な反響が出るのではないか。主催者側は十分な説明をしておくべきだ」などと述べていた。

筆者:大竹直樹(産経新聞)

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