「小江戸」と呼ばれる川越市は、観光スポットの「一番街」で歩行者天国を春秋の年2回試行実施する計画だ。
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観光客らで混雑する埼玉県川越市の一番街付近。市は歩行者天国を年2回試行実施する(柳原一哉撮影)

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「小江戸」と呼ばれる埼玉県内随一の観光地・川越市は、観光スポットの「一番街」で歩行者天国を試行実施する。大勢の観光客が押し寄せ周辺環境に悪影響が及ぶオーバーツーリズム(観光公害)対策として実施し、観光客らの安全を確保する狙いがある。市は年2回の試行実施により効果などを検証する。

車道にはみ出しも

快晴に恵まれた3月の週末。蔵造りの町並みがある一番街周辺は観光客らでごった返していた。最も狭い部分で幅約1メートルの路側帯に、食べ歩きしたり撮影を楽しんだりする人たちがひしめく。中には車道にはみ出してしまう人の姿もあった。

交差点は信号が赤に変わっても渡り切れない人が続出。車の通行が阻まれたり、流れが途切れるのを見はからって車道(片側1車線)を無理に横切る人の姿も散見された。

観光で訪れた会社員の女性(24)は「混雑していてスムーズに歩けないし、車道に出てしまうと危ないので気を付けていた」と話した。

川越市の入込観光客数は平成26年~令和元年、700万人前後で推移。2年以降はコロナ禍で大きく落ち込んだが、5年に700万人台を回復し、改めて観光公害がクローズアップされている格好だ。

歩行者天国5月と11月に

市はこうした課題を認識し、7年度、一番街のメインストリートである「札の辻」と「仲町」の両交差点間の約400メートルで歩行者天国を試行実施する計画だ。観光シーズンの5月3日~5日と11月1日~3日の春秋2回(計6日間)、いずれも午前11時~午後5時に行う。

期間中は乗用車やバイク、乗った状態の自転車も通行不可とし、車や路線バスは迂回(うかい)させる。道路を広く開放し、観光客や地元住民ら歩行者の安全を確保する考えだ。

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喜多院の桜=2023年3月18日、埼玉県川越市(影山慎一郎撮影)

市が6年度に行ったアンケートによると、住民の約85%が一番街の状況について「危険」「やや危険」と回答した。店舗・事業所などでも約76%が同様に答えており、対策として歩行者天国の実施を挙げる声が少なくなかった。

ただ、迂回する車が他の道路に流入して新たな混雑を引き起こしたり、歩行者天国に面した家屋で車の出入りが困難になる課題も指摘される。市は試行を通じて今後の在り方を検討していく。

市内に住む自営業の男性(60)は市の施策について、「特に週末の一番街は人が多く危ないと思うことがある。(歩行者天国の実施で)大勢の人が安心して川越に来てくれるようになるのは市民としてうれしい」と話した。

(産経新聞)

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