
お披露目された世界最大級の256量子ビットの超電導量子コンピューター=4月22日午前、埼玉県和光市の理化学研究所(鴨志田拓海撮影)
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富士通と理化学研究所は4月22日、計算性能の目安となる量子ビット数が世界最大級となる超電導量子コンピューターを開発したと発表し、埼玉県和光市で実機を公開した。量子ビット数は256で、令和5年に稼働した国産量子コンピューター初号機の64量子ビットから4倍の規模を実現。6月までに企業や研究機関向けに提供を開始する。
スパコンでも難しい計算が短時間で
量子コンピューターは、現在のスーパーコンピューターでも難しい複雑な計算問題が短時間で解けると期待されている。光や原子など、さまざまな物質や仕組みを使った方式の開発で競争が激化。極めて低温に冷やした回路を使う超電導方式は、米グーグルなども取り組み、研究が先行しているとされる。
実験室レベルでは256量子ビットを超える規模の量子コンピューターも報告されているが、公開して使用可能なマシンとしては世界最大級だという。富士通研究所の佐藤信太郎フェロー兼量子研究所長は「たくさんのユーザーが同時に使い、さまざまな実験ができるようになる」と話す。
来年度中に提供開始予定

富士通は今後、川崎市に建設中の新施設「量子棟」に1千量子ビットを超えるマシンを構築し、来年度中に提供を開始するという。
一方、量子コンピューターは原理的に計算でエラーが生じやすい。実用化にはエラーを訂正する技術が不可欠だが、量子ビット数が増えたことで、より研究が進む可能性がある。
理研・量子コンピュータ研究センターの中村泰信センター長は「実用的な量子コンピューターの実現に向けて大規模化する上で、重要なマイルストーンだ」と評価した。
(産経新聞)
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