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巡回展のテープカットをする坂井学領土問題担当相(左から2人目)ら=東京都千代田区のKITTE(奥原慎平撮影)
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日本の領土問題について考える「領土・主権展示館」巡回展が東京・丸の内のJPタワーの商業施設「KITTE(キッテ)」で1月20日から27日まで開かれた。尖閣諸島(沖縄県石垣市)や竹島(島根県隠岐の島町)、北方領土の歴史を紹介し、それぞれ領有を主張する中国や韓国、ロシア側の見解も併せてパネル展示した。史実に基づき、日本の主張の正当性を理解してもらう狙いがある。
中華民国は「日本帝国尖閣列島」
会場では、尖閣諸島を巡り、明治28年1月14日に領土編入した際の閣議決定の文書や、1920(大正9)年に中華民国の駐長崎領事が尖閣に漂流した中国漁民を救助した石垣の人々に送った「感謝状」などを複製で展示した。感謝状は「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」と記されている。
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中国は1971年12月に外交部が公式に尖閣諸島の領有権を主張した。一方で、70年代まで日本の尖閣領有に対し、異議を唱えなかった経緯がある。
巡回展では、中国国家測絵総局(当時、日本の国土地理院に相当)直属の出版社発刊「世界地図集」で、60年版は尖閣を日本の地図を示すページに記載した。しかし、72年版は尖閣を日本のページから削除し、中国のページに「釣魚島(尖閣諸島の中国側呼称)」の記載を追加した。パネルはこうした改変の経緯も紹介している。
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裁判官のつもりでどちらが正しいか
巡回展のオープンセレモニーで、坂井学領土問題担当相は「来訪者が領土保全について理解を深めれば主催者として本望」と語った。
超党派「日本の領土を守るため行動する議員連盟」会長の新藤義孝前経済再生担当相は、「領土問題を解決することは、島の大きさや経済的価値うんぬんではない。国としての根本であることをしっかり理解してほしい」と訴えた。
巡回展は、パネルで「最後に─考えてみよう」と題し、「巡回展とは異なる説明を聞いたり、否定する説明を聞くこともあるでしょう。裁判官になったつもりで、どちらの主張が正しいか考えてみてください。意見の違いをどのように克服したらよいかも考えてみましょう」とつづった。
その上で、領土に関する主張が対立する場合の証拠となる資料の見極め方について、「国際裁判などで有力な証拠として認められ得るものか」「証拠資料に基づく主張が、資料の正確な解釈に基づくといえるか」などポイントも解説している。
筆者:奥原慎平(産経新聞)
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