オランダで行われたNATO首脳会議に合わせ、日韓豪ニュージーランドの4カ国のインド太平洋パートナー(IP4)とNATOのルッテ事務総長との会合が開かれた。
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IP4との会合に臨むNATOのルッテ事務総長(中央)。左から2人目は岩屋毅外相=6月25日、オランダ・ハーグ(NATO提供)

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オランダで行われた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせ、日韓豪ニュージーランドの4カ国のインド太平洋パートナー(IP4)とNATOのルッテ事務総長との会合が開かれた。

NATOとIP4は、防衛産業の協力強化を目指す方針を盛り込んだ初の共同声明を発表した。

NATOとインド太平洋地域の連携が深まることを歓迎したい。残念なのはIP4の首脳の出席はニュージーランドのラクソン首相だけで、日韓豪の首脳が不在だったことだ。日本は岩屋毅外相、韓国は魏聖洛国家安保室長、オーストラリアはマールズ副首相兼国防相だった。

このため、検討されたトランプ米大統領とIP4の首脳らとの特別会合も、見送られた。

IP4とNATOのルッテ事務総長の会合=6月25日(NATO提供)

NATOはロシアによるウクライナ侵略を受け、2022年から4年連続で4カ国を首脳会議に招待している。

岸田文雄前首相が「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と繰り返したように中朝露の存在は、欧州とインド太平洋地域の共通の脅威だ。欧州とインド太平洋地域の安全保障は不可分である。

NATOとIP4が共通の脅威にともに対処する姿勢を示すことは重要だ。IP4がNATOに不可欠のパートナーとして定着するためにも、首脳が継続して出席する必要がある。

昨年のIP4会合には、ラクソン首相、当時の岸田首相、尹錫悦韓国大統領の3首脳が出席した。オーストラリアはマールズ副首相だったが、岸田氏は台湾有事などを念頭に「世界のいかなる場所であっても、力や威圧による一方的な現状変更は許されない」と発言し、存在感を発揮した。

NATO首脳会議に出席するトランプ米大統領=6月25日(NATO提供)

韓国側は、李在明大統領の欠席を「中東情勢の不確実性などを総合的に考慮した」と説明したが、韓国メディアは李政権内の親中・親露派の意向を受けた決定だと指摘した。

豪州はインド太平洋の南の要で、台湾や南シナ海で有事となれば、日米と連携して中国を抑止する役割が期待される。

石破茂首相の欠席も誤りだった。トランプ米政権のアジアへの関与を強めるためにも、会合で中朝露の脅威を訴えるべきだった。日韓豪の首脳の危機意識の薄さを知って喜ぶのは、他ならぬ専制3カ国である。

2025年7月7日付産経新聞【主張】を転載しています

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