自民党の高市早苗総裁は野党党首と相次いで会談し、臨時国会で行われる首相指名選挙での協力を求めた。日本維新の会とは連立を見据えた政策協議入りで合意、高市氏の首相選出へ大きく前進したが、協議の行方は予断を許さない。
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自民党の高市早苗総裁、日本維新の会の吉村洋文代表(いずれも春名中撮影)

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自民党の高市早苗総裁は10月15日、野党党首と相次いで会談し、21日召集の臨時国会で行われる首相指名選挙での協力を求めた。公明党との連立解消で「単独少数与党」となった自民は首相候補の一本化に動く野党の分断を狙い、日本維新の会とは連立を見据えた政策協議入りで合意。高市氏の首相選出へ大きく前進した。ただ、協議の行方は予断を許さず、高市氏にとっては綱渡りの状況が続く。

「本音ベースで連立含みの協力をお願いしたい」。高市氏は、維新の吉村洋文代表に呼び掛けた。維新に先立ち会談した国民民主党の玉木代表にも連立を視野に入れた連携を求めたが、会談のために大阪から上京した吉村氏にはより踏み込んだ表現で打診した。吉村氏は会談後、記者団に「高市氏の熱意を感じた」と振り返った。

首相指名選挙では、立民、維新、国民民主の衆院会派がまとまれば計210議席となり、自民会派の196議席を上回る。高市氏が首相に就くためには野党の協力が不可欠となる。

自民は「基本政策が一致している」(鈴木俊一幹事長)とみる維新と国民民主に接近した。高市氏の総裁就任直後は、麻生太郎副総裁が国民民主の榛葉賀津也幹事長と会談し、連携を模索した。

最近は自民、維新両党幹部の接触が目立った。自民の梶山弘志国対委員長は、14日に続き15日午前にも維新の遠藤敬国対委員長と東京都内で会談し、首相指名の対応を協議。党首会談への地ならしを進めた。

自民の梶山弘志国対委員長

国民民主が、「年収の壁」引き上げやガソリン税の暫定税率廃止の年内実施など政策実現を見極める構えを崩さないのに対し、維新は首相指名選挙での協力を視野に政策協議に応じる柔軟な姿勢を見せた。自民は維新、国民民主の「両にらみ」から維新に傾斜した。

自民、維新両党は16日から政策協議を始めたが、合意に至るかは不透明だ。維新は社会保険料を引き下げる改革や「副首都」構想、企業・団体献金の規制強化など約10項目の政策実現を要求する。維新幹部は「自民が飲むかどうかだ」と強気の姿勢を示す。

企業・団体献金を巡っては、自民は規制強化を受け入れられず公明との連立解消に至った経緯もある。自民閣僚経験者は「要求を全て受け入れるのは大変だ」と漏らす。

筆者:小沢慶太(産経新聞)

国民民主・玉木氏に「一緒に責任を」と要請

高市氏は15日、国民民主党の玉木雄一郎代表と国会内で会談し、国民民主の連立政権入りを視野に協力を要請した。記者団に「迅速に臨時国会でいろいろなことを実現するため、一緒に責任を担っていきたいと伝えた」と述べた。

会談では、国民民主が要求している「年収の壁」の178万円までの引き上げに関し、新たな協議体の設置を提案。「できるだけ早く法改正して実施できるよう努力したい」と伝えた。

高市氏は国民民主に関し、記者団に「外交政策、安全保障政策、エネルギー政策、経済政策などいろんなことで一致点の多い政党だ」と語った。

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