RETLVA2RPZDMHGGQOKJI6XNAUQ-min

スイスのチューリヒ中央駅で2月から期間限定で販売される駅弁=12月2日、東京都渋谷区

This post is also available in: English

創業100年を超える駅弁の老舗3社が2日、駅弁の世界展開を目指す組織「EKIBEN WORLD TEAM(EWT)」を立ち上げ、来年2月にスイスのチューリヒ中央駅にて駅弁を期間限定で販売すると発表した。今回はコメ以外の食材を現地で仕入れて調理して提供するが、将来は日本で作った駅弁を冷凍輸出し、本場の味を現地で展開したい考えだ。少子高齢化などで日本の駅弁需要が減少する中、和食人気が高まる海外での市場開拓を狙う。

駅弁選ぶ楽しさ伝えたい

EWTの立ち上げに参加したのは、〝鶏めし弁当〟で有名な秋田県の「花善」(創業1899年)、折り詰めの〝元祖幕の内駅弁〟の販売をうたう兵庫県の「まねき食品」(同1888年)、みそカツなど〝名古屋飯〟駅弁を定番とする愛知県の「松浦商店」(同1922年)の3社。会長を花善の八木橋秀一代表取締役が、副会長をまねき食品の竹田典高代表取締役がそれぞれ務める。

「EKIBEN WORLD TEAM」を結成し、ポーズをとる花善の八木橋秀一社長(右から3人目)ら=12月2日午後、東京都渋谷区

八木橋氏は2日の発表会見で、「今までは個別の会社ごとに海外へ進出していたが、これからは組織として出ることで、海外のお客さまに多彩な日本の駅弁を選ぶ楽しさを提供したい」と意気込みを語った。

まずは、イタリアやフランスなど欧州各国とつながる欧州最大級の鉄道駅であるスイスのチューリヒ駅の地下街で、来年2月5日~27日までの期間限定の駅弁店をオープンする。2024年がスイスと日本の国交樹立160周年でもあることから、在スイス日本国大使館や農林水産省などの協力も得て、現地でのプロモーションを進めていく。

日本の約3倍の価格で販売

販売するのは各社2種ずつの計6種類。花善は主力の「鶏めし弁当」と動物性食材を使用しないビーガンメ料理として仕上げた「ベジ寿司弁当」を販売する。まねき食品は、脂身の少ないスイス牛を使った「牛めし」と、天ぷらや酢の物など定番の和食メニューを詰め込んだ「幕の内弁当」を用意する。松浦商店は、名古屋名物の「大えび天むす」と「みそかつ重」を提供する。それぞれ、パッケージは英語表記や日本らしいイラストを入れるなど専用のデザインとした。

価格は現地の最低賃金や物価に合わせ、1個12~22・5スイスフラン(約2100~約4000円)と、日本で販売するよりも約3倍高い設定とした。期間中に1日150~180個の販売を目標に掲げる。

26年までには、欧州での食品衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」の認可を得て、国内で作って冷凍した駅弁を輸出し、現地で解凍して食べられるような販売体制を構築したい考え。欧州で年間で1万5000食の駅弁販売を目指す。

筆者:西村利也(産経新聞)

This post is also available in: English

コメントを残す