「ニューヨーク宣言」の投票が行われる国連総会=米ニューヨークの国連本部(国連提供、共同)
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主権国家の集う国際連合(国連)が創設80年を迎えた。
加盟国は当初の51カ国から193カ国へ増えた。専制国家の中国やロシアが安全保障理事会の常任理事国であったり、加盟国の多くで民主主義が根付いていなかったりするため、国連の機能に限界があるのは事実だ。そうだとしても、各国が一堂に会し、国際社会のさまざまな問題を話し合う場としてその存在は重要である。
国連を取り巻く状況はかつてなく厳しい。ロシアによるウクライナ侵略やパレスチナ自治区ガザでの紛争で国連は無力だった。だからこそ「国際の平和と安全の維持」に少しでも寄与する組織にしていきたい。

安全保障理事会では、米英仏中露の5常任理事国が拒否権を有している。東西冷戦終結後、安保理が国際平和に寄与できるのではないかと期待される時期もあったが、今では冷戦期と同様に、拒否権によって安保理は機能不全に陥っている。安保理改革は欠かせないのである。
日本では英語名の「United Nations」を国際連合と訳している。だが、国連公用語の一つである中国語の呼称は「連合国」だ。これは第二次世界大戦の連合国に由来している。国連はいわば「戦勝国クラブ」として発足した。
だが、常任理事国を5カ国に限るのはもはや時代遅れだ。安保理の実効性、代表制を高めていく必要がある。
日本の国連加盟は昭和31年だ。国連総会での重光葵副総理兼外相(当時)の加盟受諾演説は各国代表から盛大な拍手を浴びた。重光は、大戦中も外相として世界初の有色人種国のサミット「大東亜会議」を実現し、人種平等をうたう大東亜共同宣言を採択した立役者だった。
人種平等に尽くした日本は国連加盟後も、さまざまな国際協力を通じ、世界の平和と安定に貢献してきた。日本は、自由と民主主義などの価値観を共有する同志国などと連携し常任理事国入りを目指すべきだ。

同時に日本は、第二次大戦の敗戦国を対象とする国連憲章の「敵国条項」撤廃実現を主導しなければならない。「死文化」しているとの指摘もあるが、尖閣諸島や台湾をめぐる有事の際、中国がこの条項を悪用して日本を攻撃してくる恐れが排除できないからである。
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2025年10月24日付産経新聞【主張】を転載しています
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