閣議で挨拶する高市早苗首相=10月22日(首相官邸)
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高市早苗新首相は、松下電器産業(現・パナソニック)を創業した松下幸之助が私財を投げうって創った私塾「松下政経塾」(神奈川県茅ケ崎市)の5期生で、かねてから政治家を志していた。実は、四半世紀ほど前、高市氏ら同塾出身の国会議員16人がそれぞれ国づくりの構想を『21世紀 日本の繁栄譜』(PHP研究所)という1冊にまとめていた。そのなかで高市氏は既に、自分が将来、政権を握ったときの国家構想を具体的に思い描いていた。同書に心を込めて書きつづられた一つひとつの政策が、今の高市氏の諸政策の土台となった。
同書は、21世紀を迎えるのを前に1999年暮れに世に出された。当時、国会で駆け出して間もない2年生議員だった高市氏をはじめ、16人で「未来政治研究会」をつくり毎週、例会を開いては日本の将来像を語り合っていた。16人には玄葉光一郎衆院副議長や日本維新の会の前原誠司顧問(ともに同塾の8期生)らもいた。
高市氏はそこで「高市内閣成立」と題し、22ページにわたり持論を寄せていたが、その内容が興味深い。
冒頭からいきなり「高市首相」が登場
冒頭からいきなり「高市首相」が登場する。「2010年10月、自民党総裁選後の衆参両議院本会議での首相指名を受けて、高市早苗自民党総裁が内閣総理大臣となった」との一文で始まる。
その後の組閣では、一例として「重要ポストと呼ばれる経済産業相には1年生議員を起用する」といった常識を覆すような人事を行う。さらに「高市首相」は官房長官の下に「政府広報対策委員会」をつくり、日曜朝のテレビ番組「おはよう総理」などを通じ、政府事業を分かりやすく説明していく。
筆者:村上智博(産経新聞)
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