
事故があった市道。被告の少年は、30キロ規制の道路を写真の手前から、時速約95キロで交差点へ進入。男性らのバイクは右側から進入してきた=埼玉県川口市
This post is also available in: English
埼玉県川口市で昨年9月、無免許で車を運転し10代の男性2人を死傷させながら逃走したとして、無免許過失運転致死傷と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた同市在住でトルコ国籍のクルド人の少年(19)の判決公判が17日、さいたま地裁で開かれ、江見健一裁判長は「無謀な運転で結果は重大」などとして懲役5年(求刑懲役7年)を言い渡した。
重傷男性、10カ月後も意識戻らず
判決によると、少年は当時18歳だった昨年9月23日午後11時35分ごろ、川口市前川の市道交差点で無免許で乗用車を走行中、原付バイクを2人乗りしていた男性らをはね、そのまま逃走した。
男性2人はいずれも市内に住む日本人の建設作業員=当時(17)=と当時16歳の高校生で、バイクを運転していた建設作業員は翌日未明に死亡。後部に乗っていた高校生は頭部の外傷により意識不明の重体となり、事故から約10カ月になる現在も意識が回復しないままという。
判決によると、少年は親族から車を借り、友人2人を乗せて約1時間にわたりドライブ。現場交差点に近づいたところ信号機が黄色になったのを見て、そのまま交差点を通過しようと考えて加速、交差点の停止線の約35・5メートル手前で信号機が赤色に変わった際は、法定の最高速度時速30キロを約65キロ上回る時速約95キロで走行して赤信号の交差点に進入し、事故を起こした。
減速せず逃走、親族に身代わり依頼
一方、男性側も赤信号に従わずバイクを発進させ交差点に進入するなどしていたが、江見裁判長は「そのことを考慮しても、被害者にとって車が約95キロの高速度で進入してくることは予見困難で、事故は被告の単なる不注意にとどまらず、被告の無謀な運転によって起こるべくして起こったもの」と指摘。

「被告は被害者2人を大きく跳ね飛ばしたのに、減速することなく走り去った上、親族に身代わりを依頼していた。任意保険による賠償も見込まれず、被害者側への謝罪もされていない。親族らが厳しい処罰感情を示しているのは理解できる。被告の刑事責任は誠に重大だ」と述べた。
被告は黒いポロシャツに黒いズボン姿。やせ型で、左腕に青い入れ墨があった。トルコ語の通訳で判決を聞く間、下を向いたままで、終わると一礼した。傍聴席には被害者、加害者双方の家族らの姿があった。
判決に先立つ前回公判での最終弁論では、弁護側がひき逃げの罪について「被告はクルド人で、捕まればトルコへ送還されて迫害されると思い、逃げてしまった」などと述べていた。
(産経新聞)
This post is also available in: English