Total Views:10  (last 5 days) 
---- Daily Views ----
array(1) {
  ["2025-10-22"]=>
  int(10)
}
かつて北前船の中継地として海運や漁業で栄えた富山県射水市の内川。一帯は「日本のベニス」とも呼ばれる。
PWVRHIX4FJOPPOLNVA57JEC3CQ-min

富山県射水市の内川には今は珍しくなった河川港の風景が残る=富山県射水市(三尾郁恵撮影)

This post is also available in: English

2013年3月24日付の産経新聞に掲載した連載「探訪」のアーカイブ記事です。肩書、年齢、名称などは掲載当時のまま。

緩やかに流れる川の両岸に並ぶ船。周辺には風情あふれる家が軒を連ねる。富山県射水市の内川。富山新港から奈呉の浦まで東西約2.6キロの流域に広がる港町は、かつて北前船の中継地として海運や漁業で栄えた。水と人の暮らしが密接に関わっていることから、一帯は「日本のベニス(イタリア・ベネチア)」とも呼ばれる。

緩やかに流れる内川を漁船が行く(三尾郁恵撮影)

遠くから漁船のエンジン音が聞こえてきた。明け方、漁に出た船だ。漁師たちは川の縁に船をとめるとタコやイワシなどの獲物を分け合った。暖かい日には、その場で新鮮な魚をさばいて酒盛りをすることもあるという。

明け方の内川に漁船のエンジン音が響く(三尾郁恵撮影)

内川周辺には築70~80年の木造2階建て家屋が多く、中には江戸末期に建てられたものもある。格子や板塀、海辺の町特有の銅板ぶきなど、昔懐かしい家を見るとタイムスリップしたような感覚に陥る。

街並みの奥には立山連峰がみえることも(三尾郁恵撮影)

「天気のいい日は水面に反射した光が軒下をゆらゆら照らします」。内川周辺の活性化に取り組むNPO法人「水辺のまち新湊」の栗山渉さんは、水と暮らす町が持つ趣の魅力を語る。

だが、のどかな風景にも存続の危機が迫る。漁師が減り続ける中、家も道路も狭い住宅密集地は敬遠され空き家が増えているという。

「取り壊して駐車場にとの話もある。が、景観は壊さずに活用する方向で考えたい」と、同NPOの専務理事、二口紀代人さんは力説する。

緩やかに流れる川の両岸に船が並び、周辺には風情あふれる家が軒を連ねる(三尾郁恵撮影)

二口さんらは周辺地域の散策マップを作ったり、空き家で寄席を開くなどしてアピール。射水市も他自治体からの移住を促進する事業に力を入れている。最近4年間で内川周辺には家族連れなど15人が移り住んだ。町を出る人がいる中、素朴な町並みにひかれてやってくる人も、わずかだが確実に存在している。

筆者:三尾郁恵(産経新聞写真報道局)

This post is also available in: English

コメントを残す