先の大戦で旧日本軍が3000万人を虐殺したと主張する米国の書籍『Japan's Holocaust』を検証する民間有志の「戦争プロパガンダ研究会」が研究会を開いた。研究成果をまとめた反論本を6月下旬に発刊する。
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「戦争プロパガンダ研究会」の会合で講演する藤岡信勝氏(右奥)=3月16日午後、東京都文京区(奥原慎平撮影)

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先の大戦で旧日本軍がアジア・太平洋地域で3000万人を虐殺したと主張する米国の書籍『Japan's Holocaust』(日本のホロコースト)を検証する民間有志の「戦争プロパガンダ研究会」が3月16日、東京都内で研究会を開いた。昨年8月から計8回研究会を重ねており、研究成果をまとめた反論本「徹底論破!『ジャパンズ・ホロコースト』」(仮称、ハート出版)を6月下旬に発刊する。

英訳版も年内に米国で

『日本のホロコースト』は歴史学者を称するブライアン・マーク・リグ氏が1927年~45年に日本軍がアジア・太平洋地域で行った「残虐行為」について昨年3月に出版した。

反論本は、戦後80年に合わせて史実に基づかない旧日本軍の残虐性を喧伝する動きが再燃するのを阻止する狙いがある。英訳版も年内に米国で刊行する。

反論本には近現代史研究家、田中秀雄氏やブルガリア出身のジャーナリスト、ミロスラフ・マリノフ氏、ジャーナリストの大高美貴氏、著作家の宇山卓栄氏、米ハーバード大のマーク・ラムザイヤー教授ら約20人の内外の識者の論文を盛り込む。

最終日のこの日は新しい歴史教科書をつくる会副会長の藤岡信勝氏と麗澤大特別教授の高橋史朗氏が講演した。

麗澤大特別教授の高橋史朗氏

原爆こそホロコースト

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藤岡氏は、「ホロコースト」(ユダヤ人大量虐殺)について「3つの指標がある。反ユダヤ主義、計画性・組織性、大規模であること」と述べ、先の大戦で日本軍の行為が該当しない理由について、「人種差別思想に基づく政策はなかった。(国民を宝とし、世界を一つの家となす)八紘一宇が日本の理念だった。反ユダヤの思想がないだけではなく、ユダヤ人を助けた国だった」と語った。

ホロコーストに該当する事象として原爆投下と空襲を挙げて「これこそまさにホロコーストだ。リグ氏はなぜ原爆や空襲をホロコーストに加えないのか」と疑問視し、「外国の軍隊と比べて日本軍が略奪・暴行せず、規律の正しい軍隊であったことは広く世界に知られていた」と語った。

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「神道や武士道を誤解」

高橋氏は、『日本のホロコースト』で神道や武士道の教義が「日本人に優越感を与え、日本人でない者をわずかな理由で殺害することを正当化した」とされていることについて、「神道や武士道を軍国主義と混同した誤解や先入観に基づくもの」と指摘した。

昭和天皇について「被征服民族や自国民の苦しみに無関心だった」と記述されていることについては、「歴代天皇が国民を第一に考えられ、世界平和の実現を願われた。事実無根の『戦争プロパガンダ』に過ぎない」と反論した。

中国側が2015年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶(世界記憶遺産)」に申請した慰安婦関連資料の文献と『日本のホロコースト』の論拠とした記述の共通点も挙げた。

高橋氏は慰安婦制度について「日本人の非人間的残虐性を強調し『男性の攻撃性、支配性が広範囲に広がったパターン』ととらえ、学問的に検証されていない日本人識者の著書が国際的に大きな影響を与え、『日本のホロコースト』にも多大な影響を及ぼしている」と問題視した。

筆者:奥原慎平(産経新聞)

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